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2016-11-08 17:56
風前の灯火の「香港」
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
いよいよ今日11月8日、アメリカの大統領選挙の日を迎えます。国際政治情勢に与えるインパクトは極めて大きく、日本をはじめとするアジアの国々がかたずをのんで見守っているといっても過言ではありません。どちらの候補が勝利するのか、依然として混とんとしているところもありますが、いずれにしても、日本を取り巻く国際環境に長期的に様々な変化が起こる可能性は排除できません。新政権の陣容と、大統領、副大統領、国務長官をはじめとした外交・安全保障チームの発言と行動を当面冷静に見守りながら分析し対応するしかありません。
特に、中国、北朝鮮、ロシアという強権的な軍事大国に囲まれた日本の地政学的な立ち位置を考えれば、オーストラリア、韓国や台湾といった価値を共有する国々、ベトナムをはじめとした利害を共有する国々との関係を強化し深化しながら、アメリカが東アジア・西太平洋の安全保障にコミットし続けるよう働きかけをすることが何よりも重要です。また先日の日英共同軍事演習のように、域外であっても価値を共有する国との関係を深化させることも極めて重要です。一方で、日本の近隣国の情勢も、韓国の内政は大混乱に陥っていますし、中国においても来年の第18回共産党全国代表大会を控えて国内政治情勢は予断を許さない状況が続きます。
そんな中、特にここのところ、大きなニュースとなって注目されるのが、香港立法会の独立派の議員二人の資格取り消し事件です。中国が英国からの返還にあたっての約束であった、香港の自治等を保証した一国二制度を事実上骨抜きにする行為に出たということであり、大きな衝撃とともに受け取られています。選挙で市民に選ばれた代表を、北京の全人代による法解釈を駆使して排除するという、我々には理解しがたい暴挙に中国共産党が出たということで、習近平体制の強権的な顔が素直に出た事例と言えるかもしれません。当然、西側からの反発や香港での抗議活動が強まり、場合によっては大混乱となるリスクは十分計算したうえでの習近平主席の決断でしょうから、相当の覚悟をもって抑え込みにかかったというのが実態と思われます。
どこまで混乱が深まるのか、香港の住民がどのような行動に出るのかは現時点ではわかりませんが、少なくともこの結果として、台湾においては対中国の警戒感がより強まることが予想され、イギリスにおいても中国への警戒感が高まることが予想されます。経済面でも、日本関係の投資を積極的に行っているファンドは香港を拠点にしているものが多い現状がありますので、日本の取り組み次第では、日本を再びアジアの金融センターにする一つの契機となる可能性もあります。いずれにしても、日本の国益を最大化できるよう、政治が国際情勢についても細心の注意を払って、かつスピード感をもって適切な対応をする必要があります。
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