ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2016-08-17 10:47
南シナ海以上に深刻になりつつある東シナ海
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
ここのところ、北朝鮮のミサイルの日本のEEZへの着弾、中国公船の尖閣諸島周辺の領海への侵入と、我が国の安全保障にとって極めて深刻な事案が発生しています。そんな中にあって、中国が東シナ海のガス田のプラットフォームにレーダーを設置しているとの報道がありました。事実とすれば、東シナ海の制海権・制空権に大きな影響を与えかねない事態であり、日本政府としても早急な対応が必要です。諸外国の首脳や政治家と話をする中で、ここのところ私が若干気になっているのは、南シナ海以上に明白な主権侵害である中国の東シナ海における侵略行為に対しての国際社会の関心が、南シナ海と比べるとまだまだ低いということです。
確かにアメリカとしても、東シナ海の問題を認識はしているものの、日本が尖閣諸島を実効支配しており、また海軍力や空軍力のバランスも、南シナ海に比べれば中国の優位性は限られているということで、優先順位を南シナ海においている、あるいは海南島が中国の潜水艦の基地であり、核ミサイルの脅威ということからも南シナ海において中国が着々と侵略を進めていることの方が喫緊の課題であるという判断がある、といった事情があるのかもしれません。日本としても、日米がアジアの安全や安定に貢献する戦略上、南シナ海が重要なのでそのサポートをしているところですが、東シナ海の問題もそろそろ国際的にアピールせねばならない時期に来ている気がします。
東シナ海の状況は尖閣周辺や中間線付近の中国の行動から判断すれば、レッドラインを越えつつある状況と言わざるを得ません。米国、中国はもちろんのこと、国際世論に対しても国際法、「法の支配」の観点から主張すべきを明確に主張していかねばなりません。日中中間線付近の中国の動きについて我々が明確に認識し主張せねばならないのは、境界紛争における国際法の判例上の通例である中間線という概念を中国側が受け入れていない現状にあっては、国際法上、日本は自らの主権として、日本の領土から200カイリの排他的経済水域の権原を保持しているという点です。「法の支配」のもとにあっては、中国が中間線を認めていない現状では、中間線から日本の領土より200カイリのラインまでの間のいわゆる中間線の中国側の海域は明確に係争中の海域という位置づけとなり、中国も自由に開発などすることはできません。
そもそも、中国共産党の大陸棚を境界とするという主張は国際法の判例上は近年あまりない解釈であり、基本的には実効支配などの事情に考慮しつつ中間線を境界とするとの決着が一般的です。すなわち、日本の主張が国際的にも国際法的にも一般的であるということです。こうした国際法上適当な、そして「法の支配」の原則からすれば当然守られるべきこうしたルールを力で変更しようとしている中国共産党の試み、東シナ海にあっても断じて許されません。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会