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2016-06-17 05:30
都知事選、蓮舫軸に展開
杉浦 正章
政治評論家
かつて国会で「政党助成金を2500万円も貯め込んでいる」と共産党に追及された蓮舫の答弁が見事であった。何と「私が国会議員を辞めたときに国庫に返納するためにも、大切に使って、無駄遣いと言われないようにしている」と答えているのだ。青山学院で幼稚園から大学まで過ごした「いいとこのお嬢さん」でなければ、言えない答弁だろう。日本との間で貿易業を営んでいた台湾人の父・謝哲信と、「ミス・シセイドウ」だった母・斉藤桂子の長女として東京都で生まれた。民進党はいまこの蓮舫が救いの女神のように見えるに違いない。だから最初に名前出して潰されてはならないと、代表・岡田克也も幹事長・枝野幸男も大事にして、一切名前を口にしない。ただ一部の利口でない評論家が分析している自公との相乗り候補について、枝野は「任期途中で辞めた2代の都知事を作った自公と相乗りするような話はない」と真っ向から否定している。まさに民進党にとっては千載一遇のチャンスが到来したのだ。それも党の政策が良い悪いではなく、専ら蓮舫という都知事候補にうってつけの人物にひとえに依存するチャンスなのだ。このチャンスをこともあろうに宿敵自公と分け合うことなどあり得ない。だから同党保守系の長島昭久を候補にすることなど真っ先に消えたのだ。
要するに、都知事選は後出しじゃんけんなのだ。先に名前が出た候補がつぶれて、後出しした方が本格候補になる可能性が高いのだ。加えて蓮舫を擁立する際は、共産、社民、生活との4党選挙協力を実現させるため、事前の根回しが必要だ。参院でも4党、都知事選でも4党を実現して、相乗効果を狙うのだ。その場合前回宇都宮健児を擁立した共産党がどう出るかだが、今回は蓮舫に乗りそうだ。共産党幹部が朝日に「蓮舫なら勝てる」と漏らしている。あまりにいい玉だから名前が出てしまうのだ。一方、民進党最大の支持母体・連合の神津里季生も名前を出してしまった。「アピール性がある清潔な候補が求められている。蓮舫さんはこの条件にかなう人ではないか」と言ってしまった。蓮舫自身も「名前を挙げていただいて光栄だ。ただ舛添さんがおやめになっていないし、まだ態度表明の段階ではない」「ぎりぎりまで考えて決める」「仲間の声は大事だ」などと前向き姿勢である。
千載一遇というのは、都知事選に勝てば、これが全国に波及しうる効果をもたらすのだ。これを最小限にとどめるために、先を読んだ自公は舛添要一の辞任を6月21日まで遅らせ、参院選とのタイミングを辛うじて外したのだ。だから、参院選は22日公示で、7月10日投票だが、都知事選は7月14日告示の31日投票へとずらしたのだ。これで地方への影響は少なくなるだろうが、参院選と都知事選は事実上ダブル選挙となる。都内の街頭演説では都知事選だか、参院選だか、分からないような形となるのだ。多かれ少なかれ連動してしまうのだ。したがって参院候補である蓮舫が都知事に転出しても、その蓮舫人気が蓮舫に代わる民進党の参院候補を押し上げる効果をもたらすのである。まさに相乗効果である。そして都知事候補としての蓮舫が参院選では大活躍するというのが民進党の打算であろう。
これに対して、自公はどう出るのだろうか。小池百合子を候補にして、女の対決で盛り上げることもあり得るが、蓮舫に比べたら顔で負ける。小池の顔は永田町臭くて、蓮舫のようなはつらつさがない。化粧も蓮舫の方がうまい。したがって、蓮舫には負ける。自公候補で蓮舫といい勝負が出来るのは、総務事務次官で嵐とかいうアイドルグループの櫻井翔とかいう歌手の父親・桜井俊だろう。やはり官僚で官房副長官だった元都知事・鈴木俊一と「俊」の字が似ているが、「政治家はもういい。真面目な官僚を」という真面目な都民には受けるだろう。しかし、今後生じるであろう「蓮舫効果」というか、「蓮舫現象」には、勝てそうもないように思える。本人も及び腰だ。そこで自公候補の切り札は前大阪市長の橋下徹だが、これはいい勝負になりそうだ。大阪で「都構想」とかいう訳の分からんものを持ち出しても、人気を保ち続けただけあって、今度は「東京国構想」(冗談)でも掲げて、得意の口から出任せで演説すれば、東京人は大阪人よりインテリでだまされにくいが、結構説得力があるかも知れない。本人は出馬を否定しているが、盟友関係にある首相・安倍晋三や官房長官・菅義偉が説得すれば、受けるかも知れない。しかし、蓮舫には紙一重で負けそうな気がする。負けても衆院選に出る足場を築いたことになるから、橋本にとっては悪い話ではあるまい。蓮舫が出馬すればハードルが高くなり、その他候補の石原伸晃や、東国原英夫。もしやと本人が期待している片山善博、完全否定の長妻昭、そして鈴木大地などは蓮舫の敵ではない。
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