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2016-06-16 12:43
プラハからヒロシマへの道
川上 高司
拓殖大学教授
現職のアメリカ大統領としては初めてオバマ大統領は、被爆地ヒロシマを訪問し平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花した後スピーチを行い、原爆で亡くなった被爆者を追悼するとともに「核のない世界」を将来にわたって追求していく必要性を世界に訴えた。2009年就任まもなくプラハで「核なき世界」を訴えた時から、任期最後の歴史的演説をヒロシマで行うとオバマ大統領はすでに考えていたに違いない。
ロシアとは、モスクワ条約を締結して核弾頭数とその運搬手段の削減に合意した。残念なことに、その後のウクライナ問題で米露間が険悪になり頓挫してしまっている。一方イランの核開発問題については歴史的な合意を現実のものとした。米露間の核軍縮は道半ばであるが、イランとの核不拡散の取り組みは一定の進展があったといえよう。
そして核を戦争で使用した唯一の国であるアメリカと、唯一の被爆国である日本が手を取り合って「核なき世界」を訴えるというアピールは世界にも大きな影響を与えた。やはりアメリカが動かなければ世界は動かないという現実があり、その現実を認識した上でこそ、現職アメリカ大統領のヒロシマ訪問という歴史的快挙の意味が理解できるのである。
忘れてはならないのは、オバマ大統領の「核なき世界」が一歩一歩前進するのは、ケリー国務長官という逸材がいてこそである。ベトナム戦争の体験から徹底した反戦主義者となったケリー長官の信念の外交が、この4年間存分に展開され、その集大成がヒロシマといえよう。すべての道はヒロシマに通じていたのだ。
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