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2016-05-12 10:27
深い分裂を生んだそれぞれの大統領予備選挙
川上 高司
拓殖大学教授
5月3日、インディアナ州の予備選挙で共和党はトランプが圧勝、民主党でもサンダースが勝利した。トランプもサンダースも、出馬当時は泡沫候補として誰もが最後までレースに残るとは考えていなかった。その両者が予備選挙で勝利を重ね、トランプは共和党の候補に王手をかけサンダースはクリントンを脅かす。今回の大統領選挙は、まさに「あり得ない」がアメリカらしい展開となっていて目が離せない。
共和党では超保守派のクルーズが善戦していた。反トランプの動きが活発になり、一時はクルーズが優勢になるかと思われたが、流れが変わったのは4月26日のミニスーパーチューズディだった。ここでトランプはペンシルバニアなどの大きな州で圧勝し勢いを取り戻し、インディアナの勝利で王手をかけた。この結果を受けてクルーズは撤退を表明、トランプの共和党候補指名はさらに可能性が高まった。インディアナの予備選挙はターニングポイントとなったといえる。インディアナ予備選挙の出口調査を見るとトランプを支持する層が拡大しているのがわかる。超保守派以外はこぞってトランプ支持をしているのである。3月の時点では若者や女性には人気がなかったトランプが、インディアナでは年齢、性別、学歴や収入に関係なく支持を得ている。しかもトランプには型破りであることだけでなく大統領としてのふさわしさをも期待するというのである。
一方、民主党でもサンダースがインディアナではクリントンを制した。民主党は票を得票率に応じて配分するのでサンダースとクリントンの差は劇的に埋まることはない。クリントンの勝利はほぼ確実である。だが、民主党内ではサンダース支持とクリントン支持とに深く分裂していることがますます鮮明になっている。今後ワシントンエスタブリッシュメントに不満を持つ層が、民主党といえでもクリントンに票を入れるかどうかは不明である。クリントンに入れるくらいならトランプに入れるという行動に傾くとクリントンは本戦でも厳しい戦いを強いられることになる。
一方、共和党や超保守派の間ではトランプ不支持は根強い。トランプに入れるくらいならクリントンを支持すると公言する共和党幹部もいるほどだ。そうなると共和党からクリントンへ票が流れる可能性がある。本戦はまったく予断を許さない。今回の大統領選挙はリベラルと保守の戦いではくくれない。むしろ格差に源を発する現状打破派とエスタブリッシュメントの戦いであるといえる。アメリカの2大政党政治が大きく揺さぶられる大統領選挙となりそうだ。
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