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2016-02-12 11:44
不透明な経済情勢と石炭発電問題について
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
衆議院における予算審議も二週目に入り様々な観点からの審議が続いています。そんな中、2月9日に衆議院の本会議でいわゆる特例公債法の趣旨説明が行われました。経済成長と財政再建、どのように好循環を作っていけるか、きちんとした議論をして、しっかりとした政策を進めていきたいと思います。同日には、長期金利が史上初めてマイナスとなり、また株価も大きく値を下げるなど、金融マーケットの混乱が続いています。日銀の金融政策であったり、欧米の信用不安など様々な材料があるなかで、先行きの不透明感も増しています。信用収縮のような事態となることがないよう、適切な対応を先進国が協調しながら進めていく必要があります。
こうした環境の中での予算や税制の審議が今後行われていくわけで、我々は現在の状況を様々な観点から検証し、必要な施策を進めていかねばなりません。同時にいろいろな意味で政策面・政治面の不安定要因を取り除いていくことも、日本経済のリスクを最小化していくためには必要です。この点において、まさに今政治が役割を果たすことが求められています。私も、今年はその最前線ともなる予算委員会の与党の理事を務めさせていただいていますので、しっかりと責任を果たしていきたいと思います。外的ショックへの対応もさることながら、長期的にはいつまでも財政や金融政策頼みの経済運営を続けていていいはずはなく、自律的な民間主導の好循環がヒト・モノ・カネの各分野でしっかりと回るような環境づくりが求められます。マクロ・ミクロ両面での構造改革が必要です。
そして同時に北朝鮮のミサイル実験、核実験をはじめとして、またアジア・太平洋地域で政治環境が変化する国が多い状況もあって、外交・安全保障においても適切な対応が求められます。各国の緊密なコミュニケーションと連携が地政学的な不安定要素を最小化するためには不可欠です。こうした点についても与党の一員として責任を果たしていきたいと思います。ところで、2月9日にはもう一つ気になるニュースがありました。全く違う話ですが、書かせていただきたいと思います。それは、石炭火力容認を環境省が表明したというものです。これは明らかに世界の潮流からも逆行した誤った判断と言わざるを得ない。ひとたび建設を許可すれば、その発電施設は民間企業の採算を考えれば数十年は確実に使われ続けることになります。引き続き都度都度チェックをしていくなど適当なことを言って軽々に下すべき決断ではありません。
そもそも、コスト、地球環境への負荷、原子力のリスク、エネルギー安全保障等の要因の最適解を見つけなければならないのがエネルギーミックスの議論ですが、石炭にあまりにものめりこみすぎている最近の日本の議論は全く不適当と言わざるを得ない。確かに洋上風力を中心とした再生可能エネルギーが主力となるには蓄電の技術革新が不可欠で、いましばらく時間がかかる。しかし、その間の中期的な主要な発電源として考えられるべきは、安全性を確保した原子力であり、天然ガスによる火力発電です。単位当たりのCO2排出量が天然ガスと比べて1.5倍前後の石炭であっていいはずがない。CCSの設備設置を義務化することもなく、炭素税や石油石炭税の必要な改革を明示することもなく、負担の議論だけ先送りして当面の建設の容認をするのは責任ある政府の態度として疑問が残ると言わざるを得ません。
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