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2006-12-15 10:03
東アジア共同体構想の内憂外患
冨山 泰
時事通信解説委員
フィリピンのセブ島で12月に開催が予定されていた第2回東アジア・サミットなど東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の首脳会議が延期されたことにより、将来の東アジア共同体構築を視野に入れた協力の枠組みづくりは水を差された。
主催国フィリピンは来年1月に会議を再設定する方向で調整しているようだが、仮に開けたとしても、日程の都合で出席できない首脳が出てくることは避けられそうになく、東アジア共同体構想は弾みが失われる可能性がある。
これより先、米国は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の全加盟国を対象とするアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の構想を発表した。米国はこれまで、東アジアにおける地域協力の動きについて「米国の国益を脅かさない限り特に反対しない」(ラルフ・コッサ・パシフィック・フォーラムCSIS所長)と様子見の構えだったが、FTAAP構想の発表で、米国抜きの地域経済統合を牽制する姿勢に転じたのは明らかに見える。
FTAAP構想を引っ提げた米国の「参入」が東アジア共同体構想に外部から打ち込まれたくさびとすれば、セブ会議の延期は東アジア共同体の「運転席」に座るはずのASEANの頼りなさが内部で露呈したものだ。東アジア共同体構想は内憂外患に直面している。
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