ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2015-10-30 11:58
大きな意味のある米海軍艦船の南シナ海での行動
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
アメリカが、ようやく南シナ海での具体的な行動を断行したようです。現地時間の26日の夜、米海軍のイージス駆逐艦が、中国が領有権を一方的に主張し滑走路の建設を行っているスービ環礁から12海里内の海域を航行し哨戒活動を行ったとのことです。地域の安定に資する具体的な行動として強く支持し、歓迎したいと思います。ベトナムや台湾、韓国の政治リーダーとの意見交換の中で、そしておそらくフィリピンやその他の関係各国においてもそうだと思いますが、中国の軍事的経済的圧力は、我々が考える以上に凄まじいものがあることを私自身感じてきました。
四方を海に囲まれ、それなりの距離があり、しかも経済的に非常に強い日本と比べたとき、これらの国の中国への脆弱性は、我々が想像する以上です。常に脅威を感じている。さらに言えば、日本やアメリカが中国としっかりと対抗し、地域の中でのバランスを保ち、かつそれぞれの国にしっかりと継続的にコミットしてくれるか否かを各国はそれぞれの生存に関わる死活問題として注視しています。私はかねがねあちこちで申し上げてきましたが、もしも日本やアメリカの東アジア・東南アジアへの継続的なコミットメントが疑われるような事態となれば、軍事的脅威にさらされ経済的には高度に依存せざるを得ないアジアの各国は、生存のために好むと好まざるとにかかわらず、中国に一歩近づかざるを得ない。この現実を我々は忘れるわけにはいきません。
そしてそのためには何よりも口先だけのコメントではなく行動が必要です。以前ADIZを中国が一方的に設定したとき、間髪空けずアメリカはB52爆撃機を当該空域で通過させました。今回の航行も同様で、この様な具体的な行動こそが、「財政や世論の支持の厳しい中で、アメリカがいつまでアジアに関与を続けられるのか。どこまで本気なのか」というアジア各国の疑心暗鬼を解消する切り札であることは明白です。そしてそのことが、各国が中国との距離を一定程度保つ現状を維持することとなり、結果的にアジア地域の安定に寄与することともなります。
今後アメリカで大統領選が行われ、政権の行方も気になるところですが、どの政権になろうともアジアにおける安全保障政策は大きくは変わらないと言われています。そのような中で、必要なときには言動ではなく行動で示すということがその言葉にも重みを与えるという現実を認識しながら、日本としても、日米連携の中で、両国間の意思疎通をより緊密にし地域の安定にアメリカとともに可能な範囲でコミットしていくことが極めて重要です。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会