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2015-02-26 06:48
内政・外交共に行き詰まった朴“不通大統領”
杉浦 正章
政治評論家
果たして大統領としての素質があったのだろうかと思えるのが、韓国大統領・朴槿恵だ。就任早々「加害者と被害者という立場は千年の歴史が流れても変わらない」と反日歴史認識を煽(あお)り、世界各国首脳に「言いつけ外交」を展開。日本をおとしめて、一時は支持率67%に達した。筆者は反日で支持率を維持することは「邪道」と指摘してきたが、その通りとなった。反日一辺倒ではメシを食ってはいけないのだ。「生活が苦しいと言う声はほとんど絶叫に近い」(朝鮮日報)という経済困窮の実態が、2月25日で就任3年目に入った朴が直面する現実だ。支持率はコンクリートほど固いと言われた40%をも割り込み、一時は29%にまで落ち込んだ。若者の支持は何と12%まで下落している。「氷の女王」「お姫様」であった別称が、最近では「不通大統領」と揶揄(やゆ)されるに至った。「不通」とは、韓国では「意思疎通が出来ない」「何を考えているか分からない」を意味する。外交・内政で出口なしの状況を分析すれば、残る任期3年で、支持率のV字型好転の機会が生ずるかどうかは疑問であろう。
中国の歴代皇帝は近隣諸国を朝貢外交で引き寄せておいては、難題を持ちかけ、叩くのが常であった。いまや皇帝のようである国家主席・習近平も朴槿恵に対してその手を使っているかのようである。習は、北朝鮮の金正恩とは一回も会わないのに、朴とは6回も首脳会談を重ねて、良好な関係を構築するかに見えた。「お姫様」は「習様命」とまでは言わないが、ぞっこんの入れ込みかた。ころやよしとみたか習は、何と安全保障問題で朴に踏絵を迫ったのだ。米国はかねてから最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備を打診してきた。サードのレーダー能力は北朝鮮を飛び越えて4000㌔先まで監視する能力を持っており、これを半島に配備されては、中国は丸裸となる。この動きを察知した習は、昨年7月の中韓首脳会談で、「韓国は主権国家の当然の権利を行使し、反対意思を表明してほしい」とねじ込んだといわれる。皇帝の正体が現れたところだ。
一方米国は、ミサイル防衛強化論者であるカーターが国防長官に就任し、サードの韓国配備に向けて動き出す可能性が出てきた。これが意味するものは何かと言えば、「経済は中国、安保は米国」などという都合の良い“二股外交”の限界露呈である。「両方にいい顔をしようとする女の淺知恵」などとは、告訴されるから口が裂けても言わないが、「淺知恵様」であることは確かだ。中国と米国から“踏絵(ふみえ)”を迫られて、歌舞伎で言えば「どうする、どうする」の状況だ。対日外交も冷え切って正式な首脳会談が開けないままである。日本は韓国潰しのために円安誘導などしていないが、天祐か円安がウォン高を招いて、韓国の輸出を直撃、日本の輸出を有利に導いている。朴は4%の経済成長を目指したが、3%にとどまった。若者の失業者はちまたにあふれ、高齢者の自殺は世界最高だ。日本のように年金、社会福祉が整っていないから、核家族化が始まると、高齢者は行き場がなくなるのだ。日本は通貨危機の際に韓国を助ける通貨スワップ協定を、2月23日の期限切れで終了させた。朝鮮日報は、「韓日外交摩擦、経済関係への飛び火を防げ」と、悲鳴のような社説を書いている。
日中韓3国は来月ソウルで外相会議を開催、3か国の首脳会議につなげる流れた。首相・安倍晋三としてはその上で日韓首脳会談に結びつけてもよいと考えているのだろう。しかし別に急ぐ必要は無いと言うのが本音だろう。安倍は施政方針演説で「韓国は最も重要な隣国。対話のドアはオープン」とだけ言及。これまで述べてきた「基本的な価値や利益を共有する、最も重要な隣国」と言う表現から後退させている。産経記者在宅起訴問題が大きく影響して、「基本的価値を共有したくない」姿勢が現れている。朴も安倍との会談を急ぐ様子も見られない。8月の「安倍談話」を見極めた上で会談するかどうかを考えるようでもある。いずれにしても、両国関係は双方が譲らず、氷河期の状態のまま推移してゆくだろう。中国と同様に当面は経済、文化交流を促進させて、氷をとかしてゆくしかあるまい。米国務長官ケリーは24日、日中韓3カ国など東アジアを3月に訪問する方針を表明したが、日韓双方に関係改善を促す可能性が高い。
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