安倍の殺害後の声明「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える。許し難い暴挙を断固非難する。テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」と言う強い決意は海外でも大きな反響と同情を呼んだ。ニューヨークタイムズは「平和主義から離脱して、日本の首相は殺害に対し復讐を誓った (Departing From Country’s Pacifism, Japanese Premier Vows Revenge for Killings )」と断定した。一方で、国内では島国根性丸出しの論調が噴出し始めた。2億ドルの援助をイスラム国(ISIL)と戦う国に行うとする安倍のカイロ演説について、2月2日付の朝日が待ちかねたように「野党国会で検証」とデカデカと報じて煽った。しかし、2日の予算委論議を聴く限り、民主党も突くに突けない弱みを露呈させた。安倍の主張をより鮮明に引きだしただけであった。幹事長・枝野幸男がNHKで安倍の1月17日のカイロ発言が原因であるような発言をしていたが、これはさすがに少数派にとどまっている。ISIL問題を政局に活用しようとしても、国民は全く同調しないことを枝野は知るべきだ。だいいち、日本の外交がテロ集団の意向を忖度(そんたく)してねじ曲げられていいのかということになる。この局面を政治的に利用するのは邪道と心得るべきであろう。