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2014-12-10 06:38
自民圧勝は「リベラル4兄弟」敗北を意味する
杉浦 正章
政治評論家
まれに見る自民党圧勝の構図が出来つつあるが、総選挙の結果はマスコミの論調の在り方にも問題を投げかけるだろう。最大の焦点がアベノミクスの是非に絞られているから、その陰で比較的目立たないが、大きな焦点はさらに2つある。来年待ったなしとなる原発再稼働と集団的自衛権容認の安保法制への事前信認だ。自民党は両問題を正式に公約として掲げて戦っている。マスコミはこれに反対する朝日、毎日、TBS、朝日テレビの「リベラル4兄弟」と、是認する読売、産経の「安部寄り義兄弟」に分かれて論戦を展開しており、選挙情勢はリベラル4兄弟の敗北がはっきりする流れだ。おそらく4兄弟はめげずに来年早々から原発・集団的自衛権反対を主張し続けるだろうが、3回の国政選挙で民意は明白である。ここは、敗北を認め、民意を尊重した論調へと転換すべき時ではないか。今回の選挙で自民党は、両重要案件について公約で明白な立場を打ち出している。原発に関しては「原子力は安全性の確保を大前提に、重要なベースロード電源との位置づけのもと、活用していく」と再稼働を明示した。一方集団的自衛権の行使容認に関しては「7月の閣議決定に基づき、平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」と通常国会での法制化を明言している。
両案件が公約として明示されたことになるが、2012年の総選挙でも、13年の参院選挙でも総裁・安倍晋三と幹事長・石破茂は、これを明言して選挙戦に臨んでおり、報道もされている。事実上の公約と受け取られてきた。つまり自民党は明言して過去2回の国政選挙で信任を得ているのだ。今回の総選挙での圧勝は、原発と集団的自衛権の行使で最終的に民意の信任を得る選挙となるわけだ。まず原発については、一部マスコミは1200年に一度の大津波で発生した事故を金科玉条にして反対しているが、事故による直接的な死亡例はゼロだ。チェルノブイリは死者が30数人だが、これは核爆発であったから当然だ。フクシマの場合は所長以下職員の必死の働きで事故を押さえ込んだのが実態だ。事故を教訓に原子力規制委員会は世界で最も厳しい認可基準を設定、鹿児島川内原発は来年早々にも再稼働する流れとなっている。反対派のマスコミが無責任なのは、原発停止によるマイナスの側面を全く無視して、昔の社会党並みに「何でも反対」を唱え続けていることだ。国富が年間4兆円も流出し、景気の足を引っ張っていることは無視。世界で一番高い電気料金がさらに値上がりしてあえいでいる庶民や中小企業のことなど見て見ぬ振りだ。
一方世界に目を向ければ、朝日と親密な関係にあるニューヨークタイムズは化石燃料による地球温暖化と頻発する自然災害への懸念から、「原発やむなし」の論調を打ち出している。温暖化への新枠組みは、来年末のパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で決定の運びとなる。米中両国は11月の首脳会議で方向を打ち出し、欧州連合も野心的な削減策を決めている。日本は原発の総エネルギーに占める割合が定まらず、具体的な数値決定が遅れている。開催中のペルーのCOP20では、来年5月までの提示を求めており、遅れている日本への重圧となっている。提示できなければ国際社会から総スカンを食らうことは必定であり、そのためには早期稼働が不可欠となっているのだ。「リベラル4兄弟」はこうした大局的視点がゼロであり、論拠なしで反対のための反対を扇動している。これではいずれは国民の不信を買うことは必定だ。
集団的自衛権の行使についても、読売は社説で「集団的自衛権、行使容認の意義を堂々と語れ」と主張しているが、「リベラル4兄弟」はこれまた反対のための反対だ。まるで中国の海洋進出が見えないかのような論調だ。中国国家主席・習近平はオバマとの会談で繰り返し太平洋2分割論を主張し、東・南シナ海への進出を正当化しようとしている。日中対話のムードが出てきているのは歓迎すべきだが、中国がその世界戦略である海洋進出を断念することなど金輪際あり得ないだろう。極東情勢は基本的には、「冷戦構造」なのである。集団的自衛権の行使容認は国連憲章で認められている普通の国の安全保障策であり、その法制化は遅きに失したくらいだ。こうしてアベノミクスに勝るとも劣らない、2つの課題が有権者の信任を得つつある。自民党は公約に掲げての選挙であり、その結果に基づいてまずは遅れに遅れている原発再稼働にまい進すべきである。そして来年4月以降は集団的自衛権の行使容認に向けて法整備を急ぎ、通常国会会期内に粛々と成立させるべきであろう。「リベラル4兄弟」も民意の動向を考え、その路線を是正した方がよい。これは友情ある説得だ。
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