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2014-10-03 06:17
夢の「オリンピック花道」はダブル選しかない
杉浦 正章
政治評論家
政権は首相本人も側近も長期政権の夢を持つことが肝要だ。夢がなくなって「長きが故に貴からず」などと言い出したら、すぐにつぶれる。安倍政権の場合の夢は何と言っても2020年の「オリンピック花道論」だろう。そのための展望を組み立てるとしたら、2016年夏の衆参同日選挙(ダブル選挙)しかない。中曽根康弘がダブルに勝って自民党総裁任期を1年おまけしてもらったように、首相・安倍晋三も来年再選して2018年9月となる任期を2年おまけしてもらうのだ。今の人気が維持できればそれができる。それではダブル選挙を実現するためにはまず何が必要かだが、秘策がある。明らかにしてしまっては秘策ではなくなるが、筆者が書かないと半年遅れで誰かが気付いて唱えるから、まあいいだろう。それは公明党との選挙区調整を早期に行い、自民党が大幅譲歩することだ。ダブルで自民党は300議席が可能となるが、270-80議席でも十分円滑な政局運営が出来る。ところが例によって何でも反対の公明党代表・山口那津男が、ダブルにさせないことが自らの使命のような発言をしている。山口は「可能な限り、多様で新鮮な民意を絶えず国会に供給する、というのが憲法の考え方だ。一遍に民意を取り込むダブル選は、憲法の精神にはあまりふさわしくない」というのだ。
法律屋らしく憲法まで持ち出して反対するが、過去2回のダブル選挙で最高裁から違憲の判決が出たことはない。若い記者は公明の反対が最大の障害のように書くが、ダブル選挙に公明党が反対するのは毎度のことで、結局はダブルを結構こなしている。要するに宗教団体・創価学会が煩雑な選挙運動を面倒くさがるのだ。衆院と参院で選挙区が異なるから、投票で学会員がまた裂きになるというのだ。過去のダブルを見れば、公明は結構いい戦いをしている。大平正芳が選挙中に死んだ1980年のダブルでは、自民284議席,公明33議席で健闘した。中曽根康弘がやった86年のダブルでは、自民300議席、何と公明は56議席だ。小選挙区の直近の2012年の選挙では自民294議席に対して公明31議席。議席率は86年が10.9%で、12年が約12%と大差ない。従ってダブル選挙は公明にとって不利とは言えないのだ。過去のダブルの際には公明と自民はもちろん選挙区調整などしていないのに結果は良好なのだ。調整をすればもっとよくなる可能性がある。山口が嫌がる根拠を除去するのだ。
それに野党が、小沢一郎の唱えたとおりの流れになりつつある。民主、維新両党共闘の流れは最終的には両党で選挙区調整をして野党候補を一本化しようと言うところにある。民主党代表代行・岡田克也(国政選挙担当)は10月2日の時事とのインタビューで次期衆院選で野党の共倒れを回避するため、他の野党との間で候補者調整に関する協議の場を設置する方針を明らかにすると共に、必要に応じ党公認内定者の選挙区替えなどにも柔軟に対応する考えを示した。自公はこの流れを放置してはならない。小選挙区制は「風」が選挙結果を左右する。民主党が133選挙区に立てるのが精一杯でも、野党全体で300選挙区に統一候補を立てれば、小沢の狙い通りにことは進みかねないのだ。
それには自民党が有力公明党候補と競合する選挙区で降りることだ。高齢化候補を抱えていたり、無能が歴然とする候補の選挙区で、公明候補に有力な新人がいれば譲歩して、統一候補として野党に対抗することだ。民主党のように選挙区替えをしてもよい。そうすれば、公明党も納得する。いや、せざるを得なくなるのだ。そうした動きが生ずれば政局は粛々としてダブル選挙へ向かって流れることになる。もう一つ重要な点は、筆者が唱え新聞も書き始めた政局フリーハンド論である。それは消費税の延期に他ならない。予定通り年末に実施の判断をして来年10月から実施するとなると、確実に安倍は解散総選挙へのフリーハンドを失う。これを1年か1年半延期すれば、増税実施は再来年10月か17年春となり、ダブル選挙への影響を回避できるし、その間も「解散の脅し」を効かせて政局運営が出来る。有利とみれば解散に踏み切ることも可能だ。実施を延期すれば。来年の通常国会末の「安保法制解散」や、来秋の臨時国会の解散も視野に入れることが可能だ。この「脅し」が利くということほど政権運営を円滑化させることはない。
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