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2014-06-23 05:39
検証で河野談話は事実上空文化
杉浦 正章
政治評論家
一人の政治家がこれほど国益を損ねた例を知らない。政府が6月20日公表した「河野談話」の検証報告書の結果明らかになったものは、記者会見で「強制連行」を認めた当時の官房長官・河野洋平の世界的なミスリードの現実であった。そして、そこまで導いたのは首相や大統領まで加担した談話作成の過程における「日韓合作」の“すりあわせ”であり、隠ぺい工作である。これが結果的に韓国政府のプロパガンダに利用され、実態に反して、世界中に日本軍は哀れな韓国女性を「性奴隷」としてレイプしながら転戦を続けた、というデマゴーグをまき散らしたのだ。河野談話は事実上空文化した。政府はこれを奇貨として、真実を世界中に知らしめる宣伝活動を展開すべきであろう。産経新聞が「無能な政治家によって汚された国の名誉を回復するときは、今しかない」と憤っているとおりである。河野の検証後の発言を見れば、それが分かる。検証報告書について河野は「正しく書かれている。足すべきことも、引くべきこともない」と礼賛しているのだ。「冗談ではない。新たに足された事ばかりではないか」と言いたい。その認識すらもてないで、よく枢機に参画する政治に携われたものだ。まず挙げられるのが、談話の核心部分における「足すべきこと」である。歴史認識であるから、一点の疑問もあってはならないことであるが、政治的な駆け引きの対象とされた。まず韓国側が強制連行を鮮明化するため「募集は軍が行い、業者にも軍の指示があった」という表現を要求した。これに対して日本側は、要求を拒否して、「軍の要請を受けた業者がこれに当たった」との表現で決着した。
こうした「日韓合作」の調整は発表前日の1993年8月3日にまで及び、最終的に首相・宮沢喜一、大統領・金泳三が案文をチェックし、承認したうえでの発表となった。その際に重要なポイントは、調整の事実を公表しないように日本側が申し入れ、韓国側も了承したことである。明らかな隠ぺい工作であり、宮沢政権は河野主導で“すりあわせ”の上に“隠ぺい”もするという、国民を欺く対応をしてしまったことになる。さらに国民を欺いたのは、慰安婦からの事情聴取が儀式であったことだ。河野談話の内容が事情聴取の先に決められたことが如実に物語っている。こうした誤判断のうえに、より大きな誤判断を重ねるという事態が、発表に伴う記者会見で発生した。談話の曖昧さを記者会見で突かれた河野は、政府高官として口が裂けても言ってはならない発言をしてしまったのだ。強制連行の事実があったかと問われ、「そういう事実があった」と述べてしまったのだ。外務省や官房副長官・石原信雄が苦労して作り上げた「河野談話」の基調である「強制連行は確認できない」とする一線を、政治家の側が自らが破ってしまったのである。この発言が以後21年にわたって韓国の反日プロパガンダの核になった。
さすがに談話発表後は金泳三も協調姿勢を維持したが、結果的に日本側は韓国側にだまされる事態となった。「日本側の善意が生かされなかった」と石原が述べるとおりだ。アジア女性基金を通じた元慰安婦への償い金支給を始めると、韓国国内には、「日本政府による直接補償ではない」などと、まるで“言いがかり”のような声があがった。1965年の日韓請求権協定で、個人も含む賠償請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記しているにもかかわらず、その後も「慰安婦問題は協定の対象外」として、日本に公式の謝罪や賠償を求め、これが朴槿恵の反日姿勢と「言いつけ外交」の骨格をなして、今日に到るのだ。国連も、河野の記者会見に引っ張られて、こともあろうに従軍慰安婦を「性的奴隷」と呼称するに到った。無能な二級国際官僚で形成されている国連人権委員会のクマラスワミ特別報告者(スリランカ)は、96年の報告書で、慰安婦制度が国際人道法に違反する「性的奴隷制」だと断定し、日本政府に「法的責任と道義的責任」があると主張したのだ。この見解は韓国の米国内でのプロパガンダに使われ、日本軍が慰安婦を強制連行し、レイプし続けたかのような誤解が、世界中に広がっている。米国で昨年、グレンデール市に慰安婦像が設置されたのも一例である。
韓国は「共作」の実態に対して外務省の見解で「日本からの再三の要請に応えて非公式に意見を提示しただけ」と述べているが、大統領まで承認した経緯を棚上げにすることは出来まい。明らかに韓国という国家が絡んだ「談話」であったのだ。加えて検証発表当日は日本の領海内で射撃訓練をするという暴挙にまで発展させている。今後「国際社会とともに適切な措置を取る」としているが、日本は「共作」を暴露しただけでよしとしてはならない。検証であらわになった事実は、日本が強制連行を認めておらず、韓国側がでっち上げたことに他ならない。当時日本軍には世界一厳しい軍律があり、他国の女性を性奴隷としてレイプしながら戦争を継続したなどという事実など存在し得ないのだ。軍の関与は伝染病防止の医療行為などに限られている。政府自民党が今後取るべき措置は、まず国会に河野を証人喚問して、事実関係を究明することであろう。さらに米国や国連に対するロビー活動やマスコミへのPRを展開して、世界をおおう「性奴隷説」の屈辱を払しょくしなければなるまい。韓国の朴槿恵は、今後「国論統一の好餌」とばかりに取り上げて、支持率を回復しようとするだろう。7月3日に訪韓する中国国家主席・習近平もこの朴の思惑を活用して、「歴史認識」を突破口に日米韓にくさびを打ち込もうとすることは間違いない。日本政府もここは腹を据えて取り組む必要がある。青少年が、「河野発言」を真に受けて、誤解に基づく“引け目”を感じるようではいけない。青少年の自信回復がなければ国力の回復もない。他国のプロパガンダに蹂躙されてはならない。
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