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2014-03-25 06:44
「反日歴史共闘」は朴の危うい火遊び
杉浦 正章
政治評論家
韓国大統領・朴槿恵の“火遊び”が危うい。あの習近平の狡猾そうな目つきを見ただけで分かる。猫なで声で「安重根記念館の建設は私が指示した」と「反日歴史認識共闘」を持ちかけた。朴はそれだけでボーとなって「両国が真の戦略的な協力関係を築いている証し」と“半落ち”状態となった。習の狙いは言うまでもなく日米韓首脳会談へのくさびの打ち込みである。一見中国ペースで事が運ぶように見えるが、核サミットの雰囲気は逆だ。ウクライナ問題はG7ペースであり、中国の出る幕はなく、せいぜい拱手傍観の中立維持しかできないだろう。加えて尖閣でオバマが習をけん制、G7によるロシアのG8参加停止処分など米欧日の連携で事は運んでいる。朴は丁半博打で両張りをするのはいいが、「場代」が高く付くことを知らない。核サミットは本題がかすんでしまって、ウクライナ問題に集中している。日本にとっては極東情勢でいかに事を運ぶかが焦点だ。
その中で皮切りになったのが中韓首脳会談と米中首脳会談だ。中韓では、中国の孤立感の裏返しが表面に出た。参加国の中での孤立を避けるため何が何でも朴槿恵を抱き込もうという姿勢が露骨に打ち出されたのだ。こともあろうに習は、1世紀以上前の安重根事件という歴史認識問題を取り上げ、対日共同戦線を張ろうとした。嫌々ながら米国の差し金で日米韓会談に応ぜざるを得なかった朴にとっては、習の甘言が天の助けのように響いたに違いない。ぐらぐらっと習に引っ張られた姿は、指導者としては危ない。日本では一部学者が韓国は「日米韓」より「韓米中」に傾斜しているという変な理屈を立てているが、ことはそう簡単なものではない。日米、米韓はそれぞれ軍事同盟で結ばれており、これにくさびを打ち込むのなら中韓は軍事同盟に発展しなければならない。しかし朴にその度胸はない。韓国の軍当局は朴の反日姿勢をはらはらして見ていると言われている。現にジャカルタで防衛省の事務次官・西正典が韓国の国防次官・白承周と3月20日に秘密裏に会談、北朝鮮情勢や日米韓の防衛協力の強化について協議しているではないか。
一方でオバマ・習会談でも、オバマは日米同盟の信頼関係を崩すような動きには出なかった。逆に中国による防空識別圏設定に懸念を伝え、東シナ海と・南シナ海での緊張を緩和する必要があると強調した。加えてオバマは米国が日本とフィリピンの安全保障の維持を支持していると伝えた。これが臆面もなく海洋進出を図ろうとする中国への強いけん制であることは言うまでもない。またオバマはロシアへの制裁に中国も参加するように求めたが、習はこれに応ぜず、むしろ中立の立場を鮮明にした。したがって、一部で観測されていたようにオバマが習にプーチンへの仲介を求めるような事態には至らなかった。習にしてみれば韓国くらいを抱き込まなければ、日米に対して存在感を示せない状況であったに違いない。さらにG7によるロシアのG8参加停止処分は、中国にとっても痛手である。G7は首脳会合で「ハーグ宣言」を採択、クリミア併合を「違法である」としてロシアを非難、G8への参加を排除した。これまで中国はソ連やロシアと伝統的に共同歩調をとる傾向が強く、疑似同盟的な色彩があった。しかし、ウクライナ問題で世界の世論が激昂しているときに、たとえ中立でも対中感情は悪化する。逆に、ロシアに近い中国が、孤立する構図すら出ているのだ。したがって核サミットでは中国は大きな役割を演ずることが出来ないものとみられる。朴はその中国に下駄の雪のように、「ついて行きます。どこまでも」でいいのかということになる。将来は利用された揚げ句、属国化されるのが中国周辺の小国の運命であることは、歴史が物語っている。
朴が歴史問題で中国と反日共闘を組んでも、日本は馬耳東風と聞き流せばいいだけのことである。痛くもかゆくもない心理戦にまともに乗せられるほど日本政府は愚鈍ではない。逆に首相・安倍晋三の懸命な対中世論形成外交が、奏功し始めている。安倍はロシアに対して「力を背景にした現状変更は容認できない」と発言、“尖閣用語”をフルに使って対中けん制もしている。オーストラリア、フィリピン、ベトナム、インドなどへの働きかけは、中国の海洋進出に対する国際世論を形成しつつある。フィリピン、ベトナムへの巡視船供与は、中国にとっては相当の痛手であろう。巡視船供与はただ供与すれば良いというものではない。使い方の訓練に始まって両国との結びつきは準軍事同盟的な側面を有することになるからだ。ただこうした流れの中で、獅子身中の虫が馬鹿な発言を繰り返して、安部の足を引っ張っている。総裁特別補佐・萩生田光一が今度はこともあろうに23日、「河野談話の検証の結果、新談話を出す事は否定しない」と発言したのだ。新聞は訳知り顔に「役割分担」などと報じているが、それはあり得ない。なぜなら場合によっては日米韓首脳会談の開催が危ぶまれるほどの発言であり、それを直前に安倍と萩生田が打ち合わせてする事は絶対にない。報道2001を見ていたが、萩生田は右寄りの記者からしつこく「新談話を否定しないか」と聞かれて、愚かにも期待に応えるかのように「否定しない」と発言してしまったのだ。その後取材されて話が大きくなったが、要するに国際情勢を読めない無能な1側近の発言に過ぎない。安倍は早くこうした側近を排除しないと、災いは自分の身に降りかかる。
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