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2014-01-22 11:50
シリアとイラクは今後どうなるのか
川上 高司
拓殖大学教授
シリア和平会議は1月22日に開催される予定である。すでにアサド大統領は出席の意向を示しているが、反政府側は本当に出席するのかどうかは直前にならないとわからない。シリア問題の解決に向けて少しでも前進することを願うばかりである。シリアでは、アルカイーダと繋がりのある過激派組織と、過激派組織から離反しつつあるシリア人たちの反政府グループ、シーア派政権の政府軍の3つのグループが 睨み合っている。なかなか解決の糸口がつかめないのは周辺国と相互に影響しあっているからである。
その複雑なシリアと同じ構図で危機に瀕しているのがイラクである。シーア派が多いイラクの中で西部のアンバル地方はスンニ派が部族単位で居住している、スンニ派地域である。最近ではシリアの不安定な情勢の影響を受けて、アンバル地域にもアルカイーダと繋がりのある過激派組織が流入して急速に勢力を伸ばし、街を制圧している。かつてイラクでは米軍の侵攻後、スンニ派とシーア派の熾烈な宗派闘争が勃発したがその最悪の時代に勝るとも劣らないほど昨年以来テロが頻発している。1月3日には各地でテロが発生し多数の死傷者が出ている。
アンバル地域でも、過激派組織、スンニ派部族の武装グループ、シーア派政権の政府軍が衝突している。特にアルカイーダと繋がりのある過激派組織はシリアとイラクの国境付近にまたがって活動しており、イラクだけで解決できない点にマリキ首相は頭を悩ましている。もともとマリキ首相はアンバル地方にさほど関心がなく放置していたが、過激派組織が急激に勢力を伸ばしてきたのであわてて政府軍を投入した。しかしもともとスンニ派地域のためかえって複雑な情勢となっている。
アルカイーダはエジプトやイエメン、リビアでもじわじわと勢力を伸ばし進化しつつあると、元CIAアナリストで対テロ対策の専門家のブルース・リードルは警告している。彼によればアルカイーダはアラブの春には出番がなかったが、その後の各国の民主化の挫折による真空状態にうまく入り込んだという。彼は今のアルカイーダを「アルカイーダ3.0」と名付けた。そして第4世代のアルカイーダもやがて生まれてくると警告している。 無人爆撃だけのテロとの闘いはもはや限界に来ていると、オバマ大統領は現実を見るべきだろう。
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