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2013-07-30 05:59
自民党は「輿石副議長」を認めるな
杉浦 正章
政治評論家
首相問責決議などを軸に散々自民党政権を揺さぶってきた参院民主党議員会長・輿石東が、その“功績”で時価100億円を越える副議長公邸で日教組を集めて、呵呵大笑するのだろうか。おまけに先の通常国会では生活代表の小沢一郎と組んで首相・安倍晋三の問責決議を可決させ、「問責の結果が出た以上安倍内閣は認めない」と言明しているのだ。これで公正な議会運営が可能だろうか。自民党がこの人事に賛成するとすれば、参院を陰謀の府と化して、政権を簒奪(さんだつ)した張本人に“追銭”をやる以外の何物でもあるまい。輿石が参院議員会長に就任したのは、2005年の小泉純一郎政権時代だ。以来輿石は参院民主党に君臨し、小沢と組んで政局を大きく左右してきた。とりわけ2007年以降は、ねじれ国会をフルに活用して、政権奪取への道をひた走りに走った。良識の府であるはずの参院を陰謀の府と化してしまったのだ。2008年には日銀総裁人事にクレームを付け、同人事は戦後はじめてたなざらしとなった。首相・福田康夫は結局退陣に追い込まれた。この成功に味を占めた輿石は、ねじれをフルに活用して政権を揺さぶり、ついに政権交代を実現させた。
しかし参院議員会長として何を成し遂げたかと言えば、前回と今回の2度にわたる参院選大敗北だ。昨年は総選挙に幹事長として臨んだが、完敗して政権交代となった。輿石が責任をとるべき場面は山ほどあったが、すべて責任回避ですり抜けている。野田政権では約70人の離党者を出したが、「離党防止策などあるわけがない。あれば教えてほしい」と開き直ってそのままだ。先の通常国会でもねじれの活用は続いた。民主党が賛成して成立させた定数是正法に基づく衆院の区割り法案を、採決をしないまま長期に参院でたなざらしにして、結局自民党が衆院における3分の2の多数で成立させざるを得ない状況に追い込んだ。参議院外務委員長・川口順子の訪中が会議の都合で一日遅れたことに難癖を付け、問責で解任した。極めつけはだれがみても問責に値するようなことはやっていない安倍の問責の可決である。
こうして小泉以来7代にわたる政権を、5期7年に渡り、陰謀と策謀で揺さぶり、影響力を行使し続けた輿石は、参院選後も海江田万里を担いで代表の座に居座らせ、さらなる党内支配を続行する構えを見せた。さすがに民主党内にも反輿石ムードが広がり、参院若手議員ら約15人が7月25日、輿石に副議長就任を求める署名を渡した。輿石は「気持ちはありがたい。少し考えさせてほしい」と即断を避けた。それはそうだろう。党内事情と自民党の出方を考えれば、やすやすと乗れる話ではない。若手議員らの動きには、輿石を副議長に祭り上げて、政局から遠ざける意図がありありと見えるからだ。輿石は幹事長人事でも労組出身の大畠章宏を押し込み、海江田を労組グループの操り人形とすることに成功した。しかし、前原、野田グループの役員が次々に辞職するなど、党内抗争の芽は一段と深刻化している。いったん議員会長のポストを離れたら、何が起こるか分からない場面でもある。ただでさえ「参議院選挙で大敗した責任は、参議院民主党を長年率いてきた輿石氏にもある」(民主党幹部)という声が強いのである。
さらに輿石は、自民党が副議長人事に果たして賛成に回るかどうか、おぼつかないのであろう。臨時国会は来月2日に召集され、選挙結果を踏まえ、参院議長は第1党の自民党から、また副議長は、慣例に従えば第2党の民主党から選出される決まりとなっている。議長については、自民党は副議長・山崎正昭を昇格させることに内定している。しかし副議長を“宿敵”輿石にするかどうかは未知数である。現に民主党執行部が29日非公式に「輿石副議長」を打診したのに対して、自民党側は難色を示している。それはそうだろう「安倍内閣を認めない」と公言した人物を、副議長として認めるほどお人好しであるわけがない。だいいち日教組のドンが国権の最高機関のナンバー2に座って、果たして公平な議会運営が出来るだろうか。自民党にしてみれば「おみおつけで顔を洗って出直してこい」と言いたいところでもある。同党内には輿石への反感が強く、執行部が無理に輿石で妥協すれば、棄権票が多数出る可能性も否定出来ない。参院を陰謀の府と化した張本人を麻布永刈坂の1440坪の豪邸の主にさせるべきではない。税金の無駄遣いが極まる。
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