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2013-06-03 18:01
株価乱高下の真相
田村 秀男
ジャーナリスト
5月23日の日経平均は乱高下の挙げ句に、終値は前日比で7.3%と急落した。リーマン・ショック当時の暴落期(前日比最高で15%下落)という状況ではなく、投機による一過性の下落に違いない。問題は、投機がなぜ大きな決定力になるか、ということだ。根本原因はアベノミクス相場そのものにある。日銀主導のマーケット相場形成というのは、からくりが単純で、マジックと当初は思われても、「種も仕掛け」も見破られやすく、投機筋に狙われやすいという弱点を抱えているのである。
早い話、黒田日銀による異次元緩和によって円安が進み、円安=株買いというウォール街の自動プログラム取引が作動してきたが、投機筋はその揺らぎを衝いて、株売りをしかけ、株安=円高に方程式を真逆にした。それに従来の円高=株安という方程式をくっつけると、株安=円高=株安という悪循環にはまる恐れなしとは言えない。
要するに、お札を刷って円安=株高を演出するというシナリオは単純すぎる。何かの阻害要因で大きくかく乱されることだ。投機筋にとって、その理由は何でもよい。長期金利の乱高下でもよい、あるいは米景気指標でもよい。23日の場合は、英系金融大手のHSBCが発表した中国の製造業購買担当者景気指数が予想以上に落ち込んだというが、投機筋にとってみれば、何でもよかったのだろう。
もともとマーケットには一本調子の右肩上がりの持続というのはありえない。下がれば上がり、上がれば下がる。しかし、そのボラティリティー(短期的な変動率)を低めに慣らしておくことが必要で、それはやはり基本的な政策路線の信頼性と関わる。お札刷りばかりに頼らず、実体景気を着実に上昇させる政策に注力すべきなのだ。そこはやはり、安倍首相の確固としてぶれないアベノミクスの指導力、実行力にかかってくる。
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