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2013-02-15 06:25
最近気になる政界三題噺
杉浦 正章
政治評論家
最近気になる政治の動きは「馬糞の川流れ」と「時代大錯誤」と「日韓雪解け」の3つの動きだ。個別に、その意味するところを解析してみる。
【馬糞の川流れ】
馬糞が川に流されるとバラバラになって、なかなか1つに戻る事は出来ない。これを称して「馬糞の川流れ」という。自民党副総裁の金丸信が派閥について言った言葉だが、今の民主党がそっくりだ。その馬糞が、馬糞にすり寄るという現象が起きた。代表・海江田万里が予想通り生活の党代表・小沢一郎に大接近しているのだ。海江田は2月11日小沢の地元盛岡市で記者団に「小沢氏には平野氏の当選に向けてお力添えをお願いしたい」と語ったのだ。前復興相・平野達男の参院選3選に向け、岩手を地盤とする小沢の選挙協力を求める考えを示した。
かねてから小沢と海江田の仲は極めて親しい。小沢は2011年の代表選挙では海江田を応援しているし、衆院選後の首相指名選挙でも参議院での生活の党の投票先を海江田一本に絞った。小沢は新年から自公政権に対抗するため野党の一本化を提唱しているが、実態は笛吹けど踊らずだ。日本維新の会もみんなの党も総スカンである。民主党内も小沢に対する感情はバラバラだ。旧社会党系の前幹事長・輿石東は小沢と一緒にやりたがっているが、同じ社会党系でも菅直人は首相時代に“小沢潰し”に専念しており、とても一緒にやっていける雰囲気には無い。前首相・野田佳彦や前原誠司ら松下政経塾系は、小沢復帰と聞いただけでアレルギーが生じる。肝心の幹事長の細野豪志も、とても受け入れる姿勢では無い。
こうした中で生じたのが“ 輿石の乱”だ。輿石は公正取引委員会の委員長の人事案を巡って、事前報道を理由に、拒否する考えを表明。今後日銀総裁人事など国会承認人事案件の処理に混迷を来すと予想された。さすがに「何でも反対野党」への転落を危惧する執行部の巻き返しで“平定”される結果となった。しかし、小沢にとっての生きる道は、民主党への復帰か、民主党に手を入れての分裂、再編しかあるまい。人の良い海江田は小沢にとって、もってこいのターゲットなのだ。「お力添えを」と擦り寄ってくる海江田を利用して、まずは参院選の選挙協力を手始めに、陰に陽に働きかけて行くのだろう。しかし馬糞の大同団結はない。
【時代大錯誤の石原質問】
80歳の婆さん芸者の流し目のようで、薄気味悪かったのが、2月12日に行われた日本維新の会共同代表・石原慎太郎の代表質問。「浦島太郎のように戻った暴走老人。この質問は国民への遺言だ」と宣うて、質問でなく、持論を展開したのは、予想通りだったが、首相・安倍晋三へのすり寄り姿勢が鮮明に出た。与党質問でよく自分の意見を述べまくる議員がいるが、これは首相を休ませるためのごますり質問だ。それとそっくりだった。加えて焦点の靖国参拝問題で「首相は参拝に行かなくて良い」と表明した。これは明らかに安倍を窮地に陥らせないための配慮である。もともと安倍は首相在任中に靖国参拝をして、対中、対韓関係をぶち壊したくないのが本音だ。だから自民党総裁就任直後の昨年10月、秋季例大祭に合わせて、慌てて参拝を済ませたのだ。春季例大祭にはまず参拝をしない。
それとは逆に石原は、なんと天皇陛下の参拝を要求した。「天皇陛下は国民の象徴というだけでなく、祭祀(神道)を司っている。むしろ天皇陛下に靖国神社参拝して欲しい」と述べたのだ。これは天皇の意思などは全く無視した要求だ。昭和天皇が靖国参拝を中止したのは、A級戦犯が合祀されたことが理由であり、今上天皇もこの遺志を受け継いでいるのだ。それを無視する発言は不遜極まりない暴言であり、まるで傍若無人の「石原天皇」による今上天皇への“指示”としか、言いようのない発言だった。思い上がるのもいい加減にせよと言いたい。
加えて石原は、自らが中国を「シナ」と呼ぶことについて、「中国は山口県、岡山県、広島県のことを言う。シナはシナで良いじゃないか」と愚にもつかない理屈を並べ立てて、正当化しようとした。しかしこれは世代の変化を巧みに利用した欺瞞と詭弁に過ぎない。戦前「シナ」の呼称は明らかに中国を蔑視した表現であった。日本人は優越感を持って「シナ人」と呼んでいたのだ。それを知りながら、そして自らも蔑視の意味も込めながら「シナ」と呼び、その呼称の正当性を理屈づけるのは、男の風上にも置けぬ卑怯な言動である。
【日韓雪解け】
何やら日韓関係が、北朝鮮の原爆実験を契機に雪解けムードを呈し始めている。安倍は大統領・李明博と電話で約20分間協議し、国連安全保障理事会での新たな制裁決議に向けて両国が連携していくことで、一致した。国内の汚職捜査の手が自らの親族に及びそうな状況から、国民の目をそらすために行った昨年9月の李による竹島上陸後、日韓両国の首脳が正式に協議するのは初めてだ。しかし安倍は基本的には李を相手にしていない。25日に大統領に就任する朴槿恵への大接近を展開しようとしている。韓国政府は通常大統領就任式典には各国大使を招いているが、安倍は副総理・麻生太郎を特使として派遣することを考慮している。外相・岸田文雄も同行させる予定だ。これに加えて元首相・森喜朗も出席する。こうした積み上げを経て、安倍は就任間もない朴槿恵と早期に会談し、李のぶち壊した日韓関係を正常な軌道に乗せようとしているようにみえる。
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