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2012-11-27 10:10
オバマへの内外からの期待は大きい
川上 高司
拓殖大学教授
アメリカ大統領選挙が終了し、終わってみればオバマ303、ロムニー206とオバマの圧勝だった。今回の選挙でオバマを支えたのは、女性、ヒスパニック、貧困層、若年層だった。ニューヨークタイムズ紙が実施した出口調査によれば、平均して女性の支持はオバマが55%、ロムニーが44%とオバマが高かった。逆に男性の支持はロムニーのほうが52%、オバマ45%と高い。たとえばアイオワ州ではロムニーが53%の男性の支持を得ているのに対して女性の支持は40%と低かった。この州は男性票の獲得ではロムニーに負けたが女性票の59%を獲得したオバマの勝利となって女性票の強さを顕著に表している。
また、ヒスパニック系や黒人、アジア系など非白人の支持が圧倒的にオバマが高かった。全国平均でオバマを支持したヒスパニック系は71%、黒人は93%、アジア系73%とロムニーを圧倒している。特にヒスパニック系は人口が年々増加しており選挙への影響力は4年前よりも大きくなっている。ペンシルバニアでは2008年の選挙では72%のヒスパニック系がオバマを支持したが、今回では82%のヒスパニック系がオバマに投票した。ヒスパニック系の人口が増えつつあることを考えると、白人男性に的を絞ったロムニーの大統領選挙は時流に逆らった戦略だったといえるかもしれない。
だが、今回の大統領選挙でもっとも顕著だったのは、貧困層と富裕層という格差だろう。5万ドル以下の層では圧倒的にオバマが支持されており収入が増えるにつれてロムニー支持が広がっているのが特徴だ。ロムニーが勝利したモンタナやインディアナ州でさえ3万ドル以下の収入の層は59%がオバマを支持した。逆にオバマが勝利した州、たとえばオハイオ州でも10万ドル以上の収入のある層は58%がロムニーを支持した。ロムニーが貧困層に人気がないのは、ロムニーが1%の富裕層に属していることで反感をもたれていたところに「47%の貧困層は切り捨て」発言をしたことでいっそう怒りを買ってしまったことが原因だった。この時点でロムニーは47%の支持を失い、そしてその不支持は党を超えて広がったようである。
2期目のスタートは決して楽なものではない。財政問題が立ちはだかっているし今回の選挙で明らかになった「格差」問題を放置することはできない。雇用問題や歳出削減問題も解決していかなければならない。外交政策も課題が多いしなによりもアメリカ経済を回復させて強いアメリカを復活させなくてはならない。冷徹な大統領がますます冷徹になり厳しい要求を内外に求める可能性は決して低くない。世界がオバマの再選を大歓迎しているが特にヨーロッパでは「大西洋をまたいで緊密な関係を構築しましょう」と各国首相だけでなくEU議会に至るまでオバマに熱烈な秋波を送っている。ドイツのメルケル首相に至っては祝福とともに「またドイツにお越し下さい」との手紙を送ったほどである。国内だけでなく世界からの重い期待にも応えられるか。オバマの2期目に注目したい。
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