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2012-11-12 11:23
一番冷静であった日本国民の「先進国民である誇り」
若林 洋介
学習塾経営
竹島・尖閣問題に関する日・中・韓三国の国民の反応を見てみると、日本国民が一番冷静であった。それは日本国民の生活水準が高く、文化・教養水準も高いということの証左にほかならない。ナショナリズムの温床は、貧困・格差など不平・不満の多い社会にあることは、歴史的にも明らかである。そういう意味では、ナショナリズムの高揚が中国でもっとも激しかったのは、注意を要するということになる。今回のゴタゴタでわかったことは、日本国民が一番冷静で理性的であったということであり、これは日本人がもっと誇りに思ってよいことではないか。これには、日本国民が、先の大戦において敗戦国として、満州・朝鮮・台湾・千島などを失ったにもかかわらず、その勤勉さと高い教育水準によって豊かな生活水準と文化・教養水準を獲得してきたという実績の裏付けがある。
先月(10月19日)の「朝まで生テレビ」で気がついたことだが、中国の経済人(宋文州氏)や韓国の知識人(金慶珠女史)などは、母国である中国・韓国におけるナショナリズムの過剰反応に対してきわめて批判的であった。中国や韓国の国民に対してアピールすべきことは、日本のような高度な先進国においては、ナショナリズムはすでに克服されており、それこそが「日本国民の誇り」なのだということである。そういう日本国民の姿勢こそが、ナショナリズムというものが「先進国となるために克服されるべき課題」であることを、彼らに気づかせることになるのではないか。
そのためにも、豊かな生活水準・福祉水準・文化・教養水準の向上というものが、「先進国となるための課題」であり、「ナショナリズム克服」の条件であることを、中国・韓国の両国民に対してアピールしてゆかなくてはならない。そして中国・韓国並みのナショナリズムに対して、同じレベルのナショナリズムで対抗することの愚かさに、日本国民は気がつかなくてはならない。日本国民はあくまでも「ナショナリズムを克服した国民」として理性的にふるまうことが重要である。中国・韓国の知識・教養階級に対して、日本国民は、「ナショナリズムの克服」という課題を提示し、「東アジアの未来を切り開く上でもそれが大きなテーマである」という問題意識を提起してゆかなくてはならない。
末筆になるが、昨11日の政策掲示板「百花斉放」欄に津守滋氏が「モダン段階の中国に対抗するには」と題する一文を、また本12日付けの同欄にも鍋島敬三氏が「挑戦者・中国に日米はどう向き合うか」と題する一文を、それぞれ投稿しておられる。その引用は省略するが、指摘しておられる趣旨は、私の本欄における主張と本質的に共通していると思う。津守氏によれば、それは「今年1月、公益財団法人日本国際フォーラム(伊藤憲一理事長)が発表した『膨張する中国と日本の対応』と題する政策提言」の趣旨とも一致しているとのことである。津守氏は「これらの提言は、今回の尖閣問題発生後も、基本的にその妥当性を失っていない」と述べているが、私も同感である。
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