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2012-11-01 10:03
リーマンのカムバックに期待する海兵隊
川上 高司
拓殖大学教授
いよいよ大統領選挙の日が近づいてきた。TV討論も終わり選挙戦は盛り上がらないままに最終コーナーをまわりつつあるようだ。支持率からみればオバマとロムニーは相変わらず拮抗しており、オバマ有利と言われながらも投票日が終わるまではわからない。今回の選挙戦では、アメリカの経済問題と財政の立て直しがメインテーマだった。財政問題では共和党は副大統領候補にライアン氏を起用して取り組む姿勢をアピールした。だがライアン氏起用のインパクトはほとんどなく、かえってその素人ぶりばかりが目についてしまった。そのためオバマ有利かと思われていたが、第1回目のTV討論会ではオバマがいまひとつの出来映えだったためロムニー支持が盛り返しつつある。3回目の討論会では外交政策でオバマが圧倒して再び支持を伸ばしたものの、オバマ陣営としても勝利の確証を得るまでには至っていない。
ロムニーは財政の健全化のために歳出の削減を主張するものの国防費の削減には反対している。とりわけ海軍に関してはレーガン政権時代のように、強い海軍こそが強いアメリカを象徴するのだから海軍の増強をするべきだと主張する。もしロムニーが当選してこの海軍拡張路線をとれば、海軍はひたすら拡張するのだろうか。ロムニーの海軍問題でのトップアドバイザーを務めるのは、ジョン・リーマン元海軍長官である。レーガン政権時代に海軍長官をつとめ、海軍予算を大判振る舞いして海軍に「わが世の春」をもたらした長官である。
このリーマンのカムバックを海軍が期待しているとしても不思議ではない。彼は現在は造船所を経営するなど、海に関連した世界で生きている。海軍の拡張はリーマンにとってもおいしい話なのかもしれない。だが、予算が増えるかもしれない海軍よりもリーマンのカムバックを大いにそして密かに期待している人々がいる。海兵隊はおそらくロムニーが選挙で当選しリーマンがカムバックすることを願っているに違いない。なぜならば、リーマンこそがオスプレイにとっては最強の庇護者であり、さらにいえば「オスプレイ」という愛称の名付け親だからである。
海軍長官時代、リーマンはいやがる陸軍を強引に巻き込んでV-22を4軍の統合開発プログラムにさせV-22開発プログラムが消滅の危機にさらされるとひたすら庇護してきた。リーマンが長官を辞任すると陸軍はただちに統合開発プログラムから撤退し空軍も調達数を削減したことから、いかにリーマンがV-22開発プログラムを強く庇護していたかが伺える。その最強の庇護者が戻ってきたら、高価で金食い虫と批判され常に予算削減の圧力を受けているV-22はもうなにも心配することがなくなるのである。海兵隊にとっては「熱い」大統領選挙となりそうだ。
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