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2012-10-03 15:41
対中国では、安易に「落とし所」を探ることを戒めよ
鈴木 馨祐
前衆議院議員
ここのところの中国の東シナ海における攻勢、あるいはICBMを含む軍備の状況から考えると、中国が本気で西太平洋におけるアメリカのプレゼンスを下げに来ている可能性も考えねばならない状況です。わが国としても、海兵隊や第7艦隊の今後の動向を見極めつつ必要なソフト・ハードの整備を行っていく必要が出てくるかもしれません。最近の東アジア情勢を見ていると、北朝鮮問題は日朝の二国間の問題ではなく、本質はあくまで日中、日米であり、日中関係はやはりその本質は日米である、このことをつくづく感じます。
さらにそれに加えて、メディアも含めた国際的な世論がそこに様々な影響を与える時代でもあります。よく言われる話ですが、うそでも100万回繰り返せば信ずる人が出てきてやがて本当になってしまいます。中国に関しては南シナ海での前科もあり、今すぐに国際世論を味方につけられてしまう状況ではありませんが、状況経緯に詳しくない海外メディアの一部が無邪気に中国の発信に影響を受けないとも限りません。
「言わなくてもわかってくれる」という国内の理屈は国際社会においては通用しません。あらゆるチャンネルを使って正確な発信をしていくことが必要です。特に今回の経緯を見てみれば、尖閣の国有化はただの口実で、機会を見て東シナ海の境界線問題についての発信を中国は行いたがっていた可能性が高いといわざるを得ません。もともとが日本の主権下にあり中国としては失うものはない横車ですから、やれるだけやってやれというのが本当のところだと思われます。経済的な圧力をかけるのも、政治的には野田政権も自民党も外交についてはほぼ姿勢が一致していて、以前のように政治サイドからの突き崩しが効かないので経済を利用しているにすぎません。今回譲歩すれば次回からもっとエスカレートするのは目に見えています。
日本企業の投資の流出や日本の軍備強化など、彼ら自身が今回のような強硬姿勢をとると損をするということを明確に理解しない限り、今回のような事態が繰り返されることは必定です。今中国の強硬姿勢に少しでも成果を上げさせてしまうことは、中国のリーダーが11月にも変わることを考えると、10年近く悪影響を残すことにもなりかねません。変な譲歩をすれば国際世論にも悪い影響を与えかねません。対中国だけを考えると「落とし所」という発想になりがちですが、国際世論や、日米関係への影響を考えれば安易に「落とし所」を探ることは戒めねばなりません。
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