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2012-04-06 23:28
日英防衛装備共同開発の意義
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
政府は、我が国と英国で防衛装備品の共同開発に乗り出す方針を固め、10日に開かれる日英首脳会談で合意するである、と報じられている。政府が昨年12月に武器輸出三原則の運用改正に踏み切って、我が国も、防衛装備品の米国以外の国との共同開発に参加できるようになったが、その最初の相手国として英国を選んだことは、適切な選択である。まず、英国は、我が国と同様に、自由主義・民主主義の価値観を共有する、米国の重要な同盟国である。それゆえ、今回の決定は、今後とも世界秩序は米国による「覇権安定」によって保たれるべきだとするメッセージを発することに繋がる。すなわち、太平洋同盟と大西洋同盟の有機的結合に資する。もちろん、ただちに封じ込めといった意味を持つものではないが、ユーラシア大陸への牽制にもなる。
また、日英連携を通じて、米国の行動に影響力を与えることができると期待される。象徴的な意味合いだけでなく、英国との防衛装備品の共同開発には、もっと具体的な実益もある。まず、英国には、先端的な技術力がある。英国は、我が国が次期主力戦闘機に選定したF35の主要開発国の一国であるし、同じく有力候補機種であったユーロファイター・タイフーンの開発の主導国である。今後、共同開発によって両国の高い技術力を共有でき、さらに開発コストも抑制されることになる。これは、我が国の防衛および防衛産業にとって、当然プラスとなる。
そして、共同開発を通じて、英国との安全保障協力が強化される。英国は、極めて高い諜報力を持っており、我が国は、それを提供してもらってきた経緯もある。英国との間で安全保障協力が強化されれば、英国との情報共有も一層進むことになろう。ただし、その大前提として、我が国が厳格な情報保護体制を確立する必要がある。
さらに、英国は、中国への武器輸出解禁に前向きとなりがちなフランスのような大陸EUの主要国と異なり、常にそれに対するブレーキ役となってきた。この点においても、日英が安全保障協力強化を進める意義がある。我が国は、厳格な情報保護体制の確立をはじめとする、適切な法整備を行なった上で、英国との防衛装備品共同開発を通じて、日英安全保障協力を推進していくべきである。
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