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2012-03-21 17:57
アジアには海空軍、中東には陸軍が必要
岡崎研究所
シンクタンク
National Interestのウェブサイト1月26日付で、米Center for a New American SecurityのDavid W. Barnoらが、国防予算の削減はやむを得ないとしても、見直しのチャンスはまだある、実際、東アジアでは海空軍の展開が必要だろうが、アフガニスタンを含む大中東圏では地上兵力がまだ必要だ、と言っています。
すなわち、国防費削減について民主共和両党が合意出来ず、強制的予算削減が自動的に執行されることになると、今後10年間の国防費削減額は、予定されていた4870億ドルから、$9500億ドルに増大する。現行の国防省の国防計画は、前者に基づくものであって、後者は実行不可能であり、議会は自動的な強制的予算削減の実施を避けるべきだ、他方、議会が予算の削減幅について論じている間、国防専門家はその実施の仕方を検討しなければならない。大中東圏では、陸軍と空軍が必要であり、アジアでは主として海空軍が必要とされる。海兵隊は両方に必要だ。予算が減る中で、実態を反映した軍の編成・配備が必要だ、と論じています。
論説が言っていることは、二つに要約されるでしょう。一つは、自動的な強制的予算削減は非現実的で、国防当局としてとうてい実施出来るものではなく、議会がなんとかすべきだということ、もう一つは、現行の国防計画では、米国は大中東圏から手を引き、国防態勢の削減も専ら陸軍中心となると考えられるが、大中東圏の任務はなくなっておらず、陸軍の削減もほどほどにすべきだと言うことです。いずれも軍事専門家としての立場を考えれば、理解出来る論点です。軍当局として、10年間努力して来たイラク、アフガニスタンを全部放棄することは耐えがたく、また、一方的に陸軍に予算削減のしわ寄せが来ることも受け入れ難いでしょう。
強制的自動予算削減がそのまま実施されるとは、誰も考えていないでしょうが、どうなるかは選挙年の米国の政治いかんであり、誰にも予想できないし、議論も出来ない状況です。一番早いチャンスは、大統領予備選が終わり、候補が確定されて、今度は本選で中道の票獲得が目標になった頃に、議会でも超党派合意が出来る可能性が生じて来た場合です。その時は、共和党が増税を受け入れ、民主党は社会保障費の一部削減を受け入れれば、妥協の可能性はあります。いずれにしても、部外者のわれわれとしては、米国という国が過去に何度も示した回復力の発揮に期待するしかありません。
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