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2011-10-11 19:26
ドジョウも君子豹変ができるか?
高畑 昭男
ジャーナリスト
野田佳彦首相がニューヨークでオバマ米大統領と初めて顔を合わせた日米首脳会談は見ものだったらしい。会談の冒頭では「東日本大震災の復興支援を惜しまない」と優しく語りかけたオバマ氏だが、取材陣が退席して本番に入ると、途端に実務的な口調に一変したというのだ。米軍普天間飛行場移設問題はもちろん、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、米国産牛肉の輸入規制緩和、国際結婚の子の親権をめぐるハーグ条約加盟と、想定し得る日米の懸案事項をすべて列挙した。
しかも、それぞれに「結果を出す時だ」「進展が必要」と、儀礼上すれすれの厳しい注文を突きつけた。同席した日米両国の高官たちも「初対面なのに、そこまでいうか」と、あっけにとられたに違いない。オバマ氏が豹変した理由は二つ考えられる。第一は米内政で、第二は日本の内政だ。来年11月の大統領選をにらんだ再選運動は既に本格化しているが、巨額の債務、高失業率などを抱えたオバマ陣営の見通しは厳しい。外交でも中東和平などの難題に囲まれている。
それでなくとも、日本の首相はオバマ氏の就任以来4人目を数えるというのに、積年の懸案は一つも解決しそうにない。「同盟国だからといって、もう甘い顔はできない」というのがオバマ氏の本音だろう。「彼とならビジネスができる」と大統領が語った-と米高官が日本側に伝えたそうだが、それで喜んでいたら首相側もおめでたい。列挙された懸案を一つでも二つでも解決しなければ、大統領の期待を裏切ることになる。大変な重責を背負わされたのと同じことだからだ。
「君子豹変」とは本来よい意味に使われる。オバマ氏も「同盟国だから」といった甘えに流されたりせずに、豹変して懸案解決の要求をぶつけたのは日本のためにもよかったと思う。オバマ氏と同じように、野田氏も「決断しない、できない」の民主党の伝統を破って、思い切った豹変をみせてほしいものだ。
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