ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2011-08-03 07:43
菅降ろしシミュレーション:4つのシナリオ
杉浦 正章
政治評論家
「号泣万里」も今日辞任すればたいしたものだが、どうも涙で導火線が湿って、ぷすぷす音を立てていて定かでない。「8月政局」のきっかけがなかなか出てこないのだ。「海江田辞任」がなければ、どうも最終決着は月遅れの盆前には難しく、盆明けの下旬にまで持ち越しそうな雲行きだ。調子に乗って首相・菅直人が、またまた「9月も続投」にまで言及する始末だ。最大の原因は、矛先を直接菅に向けたアクションが伴わないところにあるが、永田町では、しびれを切らした民主党元代表・小沢一郎が民主党による内閣不信任案上程に踏み切るとの見方が急速に台頭してきた。「あなたが泣いたら、別れるわよ」と夫人・伸子に言われて、菅は鼻の下を伸ばしている。伸子は「妖婦」ではないし、「毒婦」ではかわいそう。亭主「奸」に悪知恵を授ける意味で「平成の奸婦」くらいであろうか。おそらく菅の延命の最大の支えとなっている。菅は、経産相・海江田万里が手のひらに「忍」の一字を書いていることについて、「俺だってこらえている。執務室には忍の文字が飾ってある」だそうだ。「忍」の文字は、居座りを極め込む菅に対して、国民の方が抱いている感情であることに思いが及ばない。やはり、近来まれに見る「独善首相」であろう。その菅の泣く顔を、伸子に見せて「別れさせる」には、どうすればよいかのシュミレーションをする。4つのシナリオが考えられる。
【ドミノ辞任】 「犬の遠吠え政局」の原因は、これまで「政局マン」小沢一郎が登場しなかったことだろう。鳩山由紀夫のおかげで、不信任案否決を食らって、“脳しんとう”を起こしたかのように動きを見せなかった。小沢は、明らかに海江田の辞任に期待していたフシがあり、その海江田が煮え切らないので、きっかけがつかめなかったのだ。海江田は先に原子力損害賠償支援法案の成立を辞任の条件に挙げたが、8月3日に成立する。冒頭述べたようにこれで辞任すればたいしたものだ。というのもお盆前の政局を動かすには、海江田辞任をきっかけにした政府・与党の「辞任ドミノ」しか手はないのだ。やはり海江田の所掌する再生可能エネルギー特別措置法案の成立を待っていたら、いつのことか分からない。自民党の硬化で8月上旬の成立が困難な情勢になってきており、お盆明けになりそうな気配もある。通常なら政界は8月14日からの週はお盆休み入りする。議員が地元対策で帰省するからだ。これを前提にした場合は、お盆前のドミノ辞任で勝負に出るのが最善の策だ。
【小沢による不信任案再提出】ドミノ辞任が実現しないと、「菅降ろし」の焦点がお盆明け8月22日から月末までに集中してしまう。22日から月末までで再生エネ法案や赤字国債発行法案を一挙に処理できるだろうか。どうも自民党は処理しないまま、最後に内閣不信任案を再提出して可決し、解散・総選挙か、退陣に追い込みたい思惑があるように見えてならない。しかし、やはり問題は小沢だ。1度消えてしまった不信任案可決の火を再びかき起こすのは並大抵なことではないが、小沢のことだからやりかねない。やれば決め手になり得る。永田町では、今度は野党の信用を得るために、小沢は民主党が不信任案を提出する戦略を練り始めているという話が出始めているのだ。産経がトップで報ずるところにによると、小沢は会期末までに、自ら執行部に不信任提出を促すか、執行部が応じなければ新会派を結成して提出することにより、会期内決着を目指すという。自民党が、その小沢の動きが出るのを期待していることは間違いない。
【代表選先行】しかし、もう一つの「菅降ろし」が実現すれば、別だ。代表選先行の動きだ。民主党執行部がひそかに練っているのは代表選挙を8月20日か27日に設定してしまい、そこに向けての動きを加速させる策略だ。そうなれば「お盆返上政局」とならざるを得まい。既成事実が積み重なって、次期代表が決まってしまっては、残る2法案が通ろうと、通るまいと、菅は退陣に追い込まれる。代表は辞任しても、総理の座にはすがりつくことは可能であるが、党内の支持を完全に失って、そのときこそ不信任案の成立が確実となるのだ。
【3法成立】さらに参院自民党が問責決議の可決で追い込めないかを模索しているが、法的効果のない問責決議など参院政策審議会長・山本一太が言うように、月末に出して可決しても、無視されれば終わりだ。出すならお盆前に勝負に出て可決するくらいの意気込みがなければ、無理だ。自民党は無理な解散戦略にこだわらず、赤字国債発行法案の早期成立を急ぐべきだ。3法すべてがそろって、菅が政権にとどまるのは無理がある。上記のシミュレーションを基本に、食うか食われるかのバトルとなることは確かだろう。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会