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2011-06-20 23:53
民主党は「国益よりも党益」の代表たらい回しをもうやめよ
高畑 昭男
ジャーナリスト
菅直人首相がいまだに退陣時期を明示していないというのに、早くも民主党内では次期代表の「有力後継候補」なる人々が次々と浮上しているそうだ。新聞報道によれば、中でも有力とされる候補は、主要閣僚として「政策の継続性」があり、かつ菅氏らと激しく対立してきた小沢一郎元代表のグループの抵抗や拒否感も比較的少ないひとだという。
菅氏らが進めた「脱小沢路線」に距離を置き、「政治とカネ」をめぐる小沢氏の処分にもタッチしなかったひとだという。この有力候補氏は、本人も「怨念の政治を超えなければ」などと語り、「党内融和」「挙党体制」を重視する方向がみてとれる。だが、ちょっと待ってほしい。そうした「有力」の根拠を言い換えるならば、「決断もせず、対決もせず、政策も修正しない」ということではないのか。「決めない、戦わない、見直さない」というネガティブ三拍子がそろったような人しか選べないようでは、国民の期待とはまったくの逆方向だろう。
そもそも「脱小沢か、小沢親政か」を賭けて昨年9月に行われた党代表選から1年もたっていない。当時、菅氏は「クリーンな政治(脱小沢)」を掲げたばかりではない。今では「4K」と呼ばれる民主党の無責任なバラマキ政策についても、覚悟を決めて見直しをすることを党員や国民に訴えていたのではなかったか。菅、小沢両氏のグループの対立の根っこにあるのは、感情的な「怨念」だけではない。「バラマキ4K」の是非を中心とした重要な政策路線の対立がある。だからこそ、今に至るも対立が解消できなかったともいえる。
政権政党の背骨ともいうべき基本路線の対立を整理できないままで、安直な党内融和や「挙党一致」をめざすということなら、結局は「何もせずに、対立点、問題点も先送りする」ということでしかあるまい。党内に波風を立てず、代表選を穏便に済ませようというのなら、それで平気かもしれない。だが国民の立場からすれば、「ルーピー」、「ペテン師」と続いた不甲斐ない代表に続いて、もう一人の「何もしない人」を後継者にするだけだ。「国益よりも党益」のたらい回しはもうやめたほうがいい。
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