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2011-02-06 16:14
解散・総選挙は、政治と政治家の劣化を加速するだけだ
若林 洋介
学習塾経営
「国民に信を問う」と言えば聞こえはいいが、衆議院の解散は、他方で、国会議員(衆議院議員)がその身分を失うことを意味している。「解散・総選挙モード」になると、国会議員は、自分の議員身分を確保することに血眼になるだけだ。そうなると、ますます政治家は、選挙のことばかりで頭がいっぱいになり、国家の命運のことなど考えないようになる。まして、ねじれ国会では、6年間身分の安泰な参議院議員が、衆議院を解散に追い込むこととなり、衆議院議員としては「迷惑千万」ということにもなるだろう。
また政権交代以後、2年も経たないうちに解散・総選挙という前例ができれば、「この次の政権も何時倒れるかわからない」という認識が国会議員たちに生まれ、政策の勉強よりも、地元の選挙対策の方を優先するというプレッシャーを高めることになる。選挙には強いが、政策の勉強はさっぱりの政治家たちが、国会議員の多数を占めるようになると、国会は、ますます真剣な政策論争の場としての意義を失うことになるであろう。実は、衆議院議員の在職期間の短さ(平均2年半)こそが、「政治とカネ」問題と「世襲議員」の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)の根本的要因のなのだ。「政策の勉強よりも、地元の選挙対策を優先する」ような政治家の量産こそが、小沢一郎のような政治家の権力基盤を形成していることを忘れるべきではない。
また、短命政権・短命内閣こそは、官僚主導政治の温床であろう。官僚側にしてみれば、「政治家は選挙対策に専念していればいい。政策と実務は俺たちが責任を持つほかないのだ」ということになる。「国民に信を問うべきだ」と主張する論者たちに聞きたい。民主主義とは「国民をアテにする政治」「国民に丸投げする政治」なのかと。自民党は「解散・総選挙に追い込む」と言っているが、自民党は具体的な「政権構想」があるのか。衆議院・参議院の過半数を取れる政権の枠組みを構想せずして、「公約」の実行は不可能となることは明らかである。したがって、「政権構想」抜きの「公約」なら、民主党のマニフェストと同じことになる。また少数政党を含む多党連立政権となれば、その政権運営はますます困難なものとなることは間違いない。
また、「政界再編って、いったい何なんだ」と問いたい。そもそも政界再編を主張している人間たちが、テンデンバラバラに勝手な「政権構想」を持っているだけではないか。自民党よ、「解散・総選挙」を主張するなら、国民に対してまずは「政権ビジョン」を提示すべきである。それなくして、政権与党となることだけを目的にするというのなら、新内閣が成立した翌日から「次の総選挙への準備」をしなくてはならなくなるだけではないか。次期政権のメニュー(政権ビジョン・政策ビジョン)を国民に提示できない野党第一党の自民党が、「解散・総選挙」を主張することほど、無責任なことはない。
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