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2011-01-07 07:34
参院議長がまるで“倒閣宣言”
杉浦 正章
政治評論家
今何と言っても面白いのが、西岡武夫だ。民主党出身の参院議長職にありながら、時の政権批判を繰り返す。その発言も、実にジャーナリスティックで、痛快無比に的を射ている。月刊誌で首相・菅直人と官房長官・仙谷由人を「国を担う資格なし」と一刀両断。これほど自らの考えを露出させる議長も珍しい。狙いはどこにあるのか。
西岡は、就任以来参院議長としては初めて定例記者会見の場を設け、自らの考えを積極的に表明している。参院と言えば、衆院のコピーとか、「床の間の天井で、誰も見ない」と言われてきたが、議長に至っては「床の間の天井裏で、見ようがない」のが実情。しかし、西岡は違う。就任以来、かねてから筆者も「だらしがない」と批判しているクールビズを「本会議場、委員会室での議案審議に際しては、ネクタイ着用を義務化したい」と提案したかと思うと、今をときめく蓮舫を批判。ファッション雑誌の写真撮影に応じた問題について、「国会はコマーシャルの場ではない。国会議員の品位を逸脱している」とこき下ろした。
菅に対しても、その発言は厳しく、かって諫早開門への対応について「個人的な浅い知識に基づいて、長崎が半世紀かけてやってきたことに、詳しいとおっしゃるんだから、ちゃんちゃらおかしい」と決めつけた。そして『文藝春秋』での発言だ。「菅・仙谷には国を任せられない」と題し、菅に対しては「あまりにも思いつきで、物を言うことが多すぎる。すべてがスタンドプレーありき」。子ども手当についても「所得制限もなくバラまくなんて、社会主義的発想がよみがえったかのようだ」と酷評。仙石に対しては、問責決議について「法的拘束力のなさを理由に、平然としているのはいかがなものか」と露骨に交代を主張。普段の発言についても「論点をそらす非常に意図的なテクニック。法廷闘争のやり方だ」と発言。いずれも当を得ていて、胸がすく発言だ。
過去に存在感のあった参院議長は、重宗祐三と河野謙三だ。特に重宗は、全盛時代の自民党を背景に、参院が「重宗王国」と言われるほど政界に重きをなした。佐藤栄作が議長室詣でをしたほどだ。キングメーカー的でもあり「三角大福」と佐藤後継候補を名付けて、ずばり当たった。一方西岡は、民主党出身ながら、菅改造内閣に対しては参議院議長として是々非々の立場を採ってきたように見えるが、今回の発言はあまりにも強烈すぎる。これほどの発言は、重宗らが目指した「参院の独自性確保」の域をはるかに超えている。また、ねじれを意識した野党への均衡意識の発言の範ちゅうも越えている。まさに、独自性の強い倒閣宣言である。菅政権も、本来ならば政争には超然としているはずの参院議長まで敵に回して、まさに四面楚歌的な情況になりつつある。
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