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2010-11-02 10:56
米の対中・対日パワー・ポリティックスに変化の兆し
岡崎研究所
シンクタンク
米 Foreign Policy のウェブサイト9月24日付で、米 AEI の Daniel Blumenthal が「アジアの不安定要因は、中国の勃興に対して日本が衰退したことにあり、米国は日本の立ち直りを援けるべきだ」と論じています。すなわち、「尖閣列島をめぐって起きた今回の日中衝突は、過去10年間の日中間の領土、海上活動などに関する摩擦の一部であるが、アジアの不安定さの源泉は、米国の弱体化に対して中国が興隆したということよりも、むしろ日本が衰退したのに対して中国の力が増大したことにある。大国間の摩擦の原因は、かつて強かった国が競争者に負けそうになった時に起こるものだ。米国は、アジアでは大国同士が争うパワー・ポリティックスの時代はまだまだ終わっていないことを認識し、環境問題や通貨問題などではなく、『戦争と平和』という高次元の政策に力を注ぐべきだ。つまり、米国は、日本が経済停滞を脱却して、より一貫した戦略的な役割を果たすよう助力すべきだ」と論じています。
中国の勃興、そしその脅威の増大に対してどうしたら良いのか、というのが今後の米国の課題です。その場合、真っ先に思い浮かぶのは、日本という大国、しかも同盟国を利用しないでほっておく手はない、ということでしょう。それは当然、防衛力などについて日本の貢献への期待となりますが、この論説の特色は「日本を長期的経済停滞から救い出すことを考えるべきだ」と言っていることです。
冷戦終了直後は、日本は米国の最大の競争相手であり、仮想敵とさえ言われ、米国の政策は日本の力を削ぐことに向けられました。それが成功(?)したためか、日本は20年来停滞に苦しんできましたが、中国が脅威となってきたため、「日本を停滞から救い出せ」という議論まで現れることになったわけです。
この日本のピンチはチャンスでもあります。中国の勃興に対して、当然日本に対する期待が高まりますが、そうした中で日本が、漠然たる対中友好関係でごまかさずに、米国との確固たる協力態勢で乗り切る姿勢を示せば、今や経済についてさえ米国の理解と援助を期待できます。折から米議会が中国の為替政策を批判していたにも関わらず、米政府が日本の為替介入を黙認したのも、その一つの兆候と言えるでしょう。やはり、日本の将来は日米同盟に賭けるしかない、という平凡な真実に立ち戻るべきだと思われます。
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