The Diplomatのウェブサイト9月21日付で、中国問題の評論家Gordon G. Changが、「最近、中国の中で軍部の発言力が増大している」と指摘しています。すなわち、「2004年半ば頃から、胡錦涛は江沢民との権力闘争に勝つために軍の支持を得ようと、軍事予算の増額や軍内の強硬分子の抜擢等を行ない、それは概ね成功した。軍が発言力を増している証拠に、(1)タカ派的議論が国家の政策になっている、(2)軍は党の下にあるという建前が陳腐化している、(3)2012年の党大会に向けて軍が前回の党大会で獲得した地位を維持強化しようとしている、(4)胡錦涛は軍事費の増額は経済成長に見合うべきだと言っているが、近年、軍事費はそれ以上の伸びを示している」と指摘し、「これらが最近の中国の強硬な対外発言につながっている。中国の野心は際限が無い」と結んでいます。
しかし、より長期的には、Gordon G. Changも言うように、第18回党大会を2012年に控えての権力闘争が要因になっていると思われます。Gordon G. Changは、軍の発言力の増大の原因を江沢民と胡錦涛の権力争いに帰していますが、江沢民もまた、解放軍歴の無い初めての総書記として、軍事費の増額や将官の数の増大など軍の要求を全て呑んで来ました。
こうしたことが軍をつけあがらせ、Gordon G. Changも言うように、30年代の日本の青年将校の跋扈のような状況が出現しているのかもしれません。現役の将官達が党・政府の統制に捉われず、自由に発言しているところを見ると、「若手将校たちが戦略をコントロールし始めている」というのも、あるいは真実かもしれません。