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2010-10-19 07:33
政権のアキレス腱は、虚言「半落ち」の仙石官房長官
杉浦 正章
政治評論家
「尖閣虚言」の中心である官房長官・仙谷由人が「半落ち」となった。あとはカツ丼を差し入れれば「完落ち」となる状況だ。状況証拠はそろった。仙谷の国会答弁を聞いていても平衡の感覚を失っているケースが多い。高転びに転ぶ前に、「悪うございました」と船長釈放の判断を一地方検事に押しつけた非を認め、職を辞して四国遍路でもして、バランス感覚を取り戻すといい。「半落ち」とは仙谷が弁護士仲間で自民党参院議員の丸山和也の「判決後にに船長を釈放すべきだった」という電話に、「そんなことしたら、APECが吹っ飛んでしまう。そこまでやっていいというなら別だが、今はその時期ではない」と述べた点だ。明らかに11月に横浜で開催するAPEC(アジア太平洋経済協力会議)への影響を恐れており、これは那覇地検の検事が判断出来る問題ではない。紛れもない政治主導による事実上の指揮権発動があったことを物語る。
丸山の電話は、船長を釈放した直後の9月24日だが、状況証拠は10月23日から24日にかけて山積している。23日にはニューヨークで首相・菅直人が「イラ菅」と化し、処理を「もっと早くできないか」と急かした。これが伝わると、外務省が官邸と急きょ協議、担当課長を那覇地検に派遣した。24日は法相・柳田稔が仙石と会談、1時間後に地検が釈放を発表した。柳田はその直後に「 法相としての指揮権は発動していない」とのコメントを発表した。まだ誰も「指揮権発動だ」と批判していない段階である。恐らく仙谷の入れ知恵だろう。加えて丸山への仙谷発言だ。一連の動きが何よりも政治介入を物語る。仙谷は、「友人関係で話したことを国会で質問するなら甚だ不本意。友人でも電話に出てはならないと肝に銘じた」と記者会見で述べているが、これも語るに落ちた。
「友人関係だから話した」のであり、事実と認めているのだ。だいたい丸山はテレビタレント出身であり、しゃべるのが商売だ。気を許す方が政府高官としての危機管理のなさを暴露している。国会答弁では丸山への電話について「最近健忘症にかかっているか分からないが、暴露されたような会話をした記憶は全くない」と逃げている。仙谷の予算委員会などでの“しゃしゃり出”の姿勢は、菅への野党の攻撃を盾になって防ぐ“菅防長官”とやゆされているが、今度は“健忘長官”の異名がついた。国会答弁も居丈高で、どこか“たが”が外れたような異様さを感じさせる。かつて辣腕弁護士といわれて法廷闘争に自信があるのか、法律用語を駆使して、質問者を追い詰める。強弁も度を過ごして、自民党・山本一太の質問に「新聞報道を基に質問すべきでない、というのが野党時代の先輩の教えだった。新聞報道で質問すべきでない」と噛み付いたが、すぐに自分も野党時代に新聞をもとに質問していたことがばれた。
天下り禁止策を批判した官僚を「彼の将来が傷つき残念だ」と露骨に脅した。18日の参院決算委では決算委員長・鶴保庸介から「国会を冒涜(ぼうとく)する答弁だ。当該政府参考人に圧力を加えるのではないかとの指摘がある」と異例の注意がなされた。鶴保は「国務大臣としての品位を汚すことなく、真摯(しんし)かつ適切な答弁に務めることを強く望みたい」とも念を押した。要するに、国会という政治家の論議の場を、法廷闘争の場とみたてて、弁護士が“菅被告”を守るような三百代言的答弁を繰り返しているわけだ。野党は自民党の鶴保が異例の注意をしたことが物語るように、仙谷を絶好の標的として攻撃していくだろう。臨時国会でこの体たらくでは、通常国会で“仙谷答弁”が風前の灯にさらされることは間違いない。「イラ菅」を上回る「イラ仙」が政権のアキレスけんとなった感じだ。
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