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2010-09-09 07:32
菅でも、小沢でも、早期解散含み
杉浦 正章
政治評論家
民主党代表選挙と早期解散・総選挙の可能性をかねてから指摘してきたが、ようやく野党も分かって来たようだ。自民党が石原伸晃を幹事長に据えるのも、紛れもなく総選挙シフトだし、みんなの党も100人以上の擁立準備に着手した。菅直人が勝つと思うが、小沢一郎がなっても、解散・総選挙は早い。小沢なら秋の臨時国会、菅なら来年の通常国会に赤信号が灯る。
首相・菅直人は、多数派工作を意図して、新人議員らに「衆院任期はあと3年あるが、3年間、しっかり腰を据えて改革を実行していきたい。3年後に(衆参)ダブル選挙でやればいい」「自分が首相でいる限り、3年間は解散しないし、するべきでない」と明言、早期解散を否定した。早速みんなの党代表の渡辺喜美が「『伝家の宝刀』(の衆院解散権)を封印するとは、何と愚かなことか。次に行き詰まった時は『総辞職しかない』と宣言したようなものだ」とこき下ろしたが、その通りだ。解散権は、首相の持つ大権であり、政局を動かす原点だ。いつでも「伝家の宝刀」を抜ける構えを維持するのが、首相たるものの役目だ。また自党には常在戦場の危機感を持たせておくのが指導者の役目だ。
民主党にしてみれば、308議席は何としてでも維持せざるを得ないのだが、政局は「乱」の状態にあり、3年後のダブル選挙まで見通せる安定感はない。参院が過半数割れでねじれたことが、解散・総選挙の導火線となるのだ。現に参院自民党の新幹事長になった小坂憲次は、「参院自民党の使命は、一日も早く衆院を解散に追い込んで、政権奪回の糸口をつかむことだ」と看破している。自民党はさすがの総裁・谷垣禎一もひしひしと異常政局を感じたのか、ここに来て急きょ執行部体制を解散・総選挙向けにシフトすることにした。谷垣は「次期衆院選への体制づくりなどを着実に進めようとするものだ」と解説している。それではまず小沢が代表になった場合の雲行きはどうか。まず自民、みんな両党は秋の臨時国会の冒頭から臨戦態勢で臨む。異例の「小沢首相」の証人喚問要求などを連発し、「政治とカネ」をプレーアップする。場合によっては冒頭の首相指名から国会が動かない可能性すらある。参院では問責決議案が可決される可能性が高く、小坂の言うように「参院が衆院解散の導火線となり得る」のだ。小沢は就任早々解散の決断を迫られる可能性が大きい。
菅が続投なら、当面野党は中期戦の構えを取るだろう。悪役小沢を負かした「クリーン菅」のイメージは突きにくい。しかし、菅の政権3か月を見ていると、解散・総選挙発言や消費税増税論議に象徴されるように、荒っぽさが目立つ。秋の臨時国会は乗り切れても、通常国会の予算審議を乗り切れるか疑問だ。小沢が「年度末に行き詰まる」と予言しているとおり、予算は通っても、関連法案が通らないといった事態が生じうる。野党はねじれを最大限利用するだろう。自民党政権下で安倍晋三、福田康夫、麻生太郎がねじれが原因で1年しか持たなかったと同じ事態に直面することになる。年度末3月~4月にかけて最大の山場となるだろう。いずれにしても「3年は解散がない」などと言う見通しは、夢物語に過ぎないだろう。渡辺の「菅氏の無策路線が勝つか、小沢氏の暴走路線が勝つか。どっちが勝っても衆院解散は近い」という“読み”は当たる公算が高い。
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