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2010-09-07 10:18
批判を受けるオバマ政権の経済政策
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
菅総理の「一に雇用、二に雇用、三に雇用」というのは、2009年米国雇用統計発表にあたって、オバマ大統領の首席補佐官ラーム・エマニュエルの言った「雇用、雇用、雇用」を彷彿とさせる。(まさかパクリじゃないよね。)オバマ大統領も言ったものだ。「毎日、再度経済を活性化すべく努力しなくてはならない。多くのアメリカ人にとって、そして私にとって、それは雇用を意味する」と。ところが、それから一年余、「かけ声の割には実績に乏しい」とオバマ政権の経済政策については、批判の声が高いようだ。菅政権も、果たしてこの後どれほどの期間政権の座にあり続けるのか不透明だが、現在、そして近い将来の具体的な経済(雇用)政策については、必ずしも明確にされていない。オバマ政権の経済政策とそれに加えられた論評の軌跡を振り返ってみることは、他山の石の効用があるかもしれない。
9月1日のワシントン・ポスト紙マイケル・ガーソンの論評が簡にして要を得ていると思うので、抜粋しながら紹介してみたい。彼は、何よりも先ず「オバマ政権の政策関心は、総花的で、焦点が絞られていない」と批判する。「マンハッタンのモスク、カトリーナ台風被災五周年、イラク・アフガニスタン、と、あちらの公園からこちらの小径へとさまよい、その途中、ケーブルテレビのあらゆるニュースに立ち留る。そのくせ雇用政策については、何も語らないのは、策がないからだろう」と手厳しい。
これまでのオバマ大統領の経済政策に対する言及の仕方は「もしこれほど予算を投入していなかったら、もっと悲惨な状態になっていただろう」という言い方なのだが、ガーソンは「予算投入にあたっては、失業率8%を予想していたではないか。それが、現在は9.9%だ」と批判する。そして「こんな状態になっていることについて、私を批判しないでくれ。ブッシュ政権を批判してほしい」というオバマ大統領を「なんと否定的で、後ろ向きの発言だろう」と、また「もう少し時間をくれ。そうすればきっとうまくゆく」に対しては「なんと受動的で、物悲しい言い方か」と。
オバマ政権が考えている更なる景気刺激のための支出増大については「国民大衆の受忍限度を超えており、非現実的だ」と一蹴(小沢さんに聞かせたいね)。当面緊急の話題になっているのは、ブッシュ政権時代の2001年及び2003年の景気刺激策(減税)が期限切れになりかかっていることなのだが、オバマ政権は中小企業減税を強化し、富裕層に対する減税の部分を除いて踏襲しようとしている。これは共和党との「ねじれ」現象の中で、実現は必ずしも楽観を許さない。このあたりも、日本にとって示唆に富む内容だ。
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