「IMF は世界経済の重心が移りつつあるアジアを重視すべきだ」という IMF 専務理事の発言がありましたが、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンのコラムニスト、Philip Bowring が、それを踏まえて、ニューヨーク・タイムズ の7月20日付でアジア通貨基金のことを論じています。
それによると、「IMFは、かつてはアジア通貨基金を IMF の権限を脅かすものと見て、1998年には日本が出した設立提案に反対したが、今ではアジア通貨基金のような地域的機構は IMF を補完するものだと認めるようになった。他方、日中韓とアセアンが相互外貨融資のため 1200億ドルの基金創設に合意したことで、アジア通貨基金の種子もできたと言える。しかし、この金額では、最近のような金融危機に対処するには不十分であり、その上、日中間の指導権争いが危惧されるし、さらには、インドをアジア通貨基金に含める目途も立っていない」と指摘し、「同じアジアといっても、東アジア諸国は経済が既に成熟期に入り、人口も伸び悩んでいるのに対し、南西アジアは経済も人口もまだ成長期にある。その南西アジアのニーズをよりよく満たせるのは、東アジア主導のアジア通貨基金よりも、IMFのような世界的機構だろう。また、韓国のような貿易依存度の高い中規模国家にとっても、世界的な機構の方がより多くの恩恵を与えてくれる」と言っています。