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2006-05-08 13:33
アジア各国の national identity の再確認を
村上正泰
公務員
東アジア地域における包括的な連携・協力関係の構築は21世紀前半の重要課題であり、我が国においても、十数年前に日本国際フォーラムがopen regionalismを提唱するなど、かかる方向性での政策提言が重ねられてきたところですが、こうした議論を前進させ、強力に推進していく東アジア共同体評議会が設立され、幅広い活動がなされていることを大変興味深く拝見しております。
東アジア地域におけるregionalismは、つとに指摘されている通り、人工的に形成されたものではなく、各国の政治・経済体制が多様な中で、我が国の著しい経済成長とともに雁行型の発展が続き、経済面で実態的に出来上がってきたものです。したがって、多様性こそがこの地域のdynamismを生み出したと言えます。また、文明史的に見ても、特に日中間において顕著ですが、この地域には共通の土台というのを見出しにくいという状況もあります。市場経済や民主主義と言っても、各国の歴史的・文化的背景と不可分であり、具体的なあり様は極めて多様です。
こうした中で東アジアにおけるregionalismというものを考えていくならば、共同体の仕組みやその共通理念という最終到達点を性急に模索する前に、迂回的ではありますが、まずは各国のnational identityを相互に再認識するという作業が不可欠であると考えます。そうした地道な取組の中で、共通理念たり得たり、共同体として制度化できたりする部分と、そうでない部分も明確となり、目指すべきところが徐々に見えてくるのではないでしょうか。その意味で、東アジア共同体評議会の腰を据えた息の長い活動を期待するものです。
長々と失礼いたしましたが、ごく大雑把な感想を書かせていただきました。
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東アジア共同体評議会