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2010-07-10 23:11
踊り場に出た中国経済?
河東 哲夫
早稲田大学客員教授
この頃、中国経済変調の兆しが報道されるようになっている。世界金融危機のあとも、内需拡大でしのいできたが、その限界が来たのだろう。中国は輸出で稼いだ資金が、国内で不動産やインフラ建設にまわされ、バブル気味に膨らまされて、伸びてきたと言えるのだが、もう2年も輸出が不振だと、内需拡大も息が切れてくる。なぜなら、財政支出増と銀行による融資増で、必死で内需を盛り上げているのだから、ということだ。
中国は「世界の工場」としての日本に入れ替わり、輸出を原動力として日本と同じGDPを築くに至ったわけなのだが、中国が日本から奪った米国、EUの市場規模は、考えてみれば以前と変わっていない。つまり、中国は、これ以上輸出を大幅に増やしていくことはできず、輸出収入を内需拡大に回す度合いも減ってくるから、内需拡大にも限界が出てくる――こういうことになるのでないか?
「踊り場」と表題に書いたが、もしかすると、踊り場の床は抜けているかもしれない。なぜならこれまでバブル気味に噴き上がった不動産価格が急落し、不良債権の山ができてくるからだ。もっとも、国営企業の多い中国では、銀行の不良債権は踏み倒されることが多いだろうが。
中国の経済成長は、建設・不動産、輸出増、そして統計の水増しで実現されてきた。このうち前者の2要因がなくなる可能性があるということだ。元のレートが落ちるから、これからの輸出にはかえっていいかもしれない。しかし、国内インフレが激化して、生産費が急増すれば、安心してはいられない。あり得べき、中国経済救済のシナリオを検討しておくべき時ではないか?
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