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2010-03-15 07:30
空虚な自民党「3人組」の新党発言
杉浦 正章
政治評論家
川柳で言えば「竹光を抜くのは、よさの逃げますぞえ」だ。どうも新党、新党と威勢はいいが、お腰のものは竹光らしい。抜かない方がばれなくていい。与謝野馨、舛添要一、鳩山邦夫の「新党3人組」をめぐって論議が活発化し、自民党は「学級崩壊」(田中真紀子)とからかわれている。しかしこの3人組、失礼ながらいずれも人望がいまひとつとあって、広がりが出てこない。参院選挙をにらんでの発言だから、すわ参院選前の新党結成かと色めき立つが、中核になるべき与謝野が、弁舌は巧みだが、「色男金と力ははなかりけり」だ。共通しているのは、テレビ・カメラの前では威勢がいいことだ。ミニ新党なら別だが、与謝野の言う政局を動かすような新党の参院選前の結成はまず困難、というのが永田町の大方の見方だ。
新党などと言う言葉は、先に発言してしまうものではない。古くは新自由クラブにしても、小沢一郎の「各種」新党にしても、水面下に潜って根回しをして突如浮上、浮上したときにはおおかた出来上がっている、というのが本格的新党結成の手法だ。事前に公言してやることも、みんなの党の渡辺喜美の例があるが、テレビ映り意識では党内を盛り上げられず、ミニ政党にとどまる。与謝野が言うように、新党結成に腹をくくったというならば、少なくとも自民党の半分は割るくらいの気構えと下工作がなければならないが、その空気は見られない。3月10日の「正しいことを考え実行する会」も出席者16人の大勢は、新党派ではなく、体制刷新派であったという。与謝野は「谷垣が退陣しなければ、新党」の路線だが、自ら総裁選に出馬しないでおいて、「半年で退陣せよ」と言っても説得力がない。与謝野は様子見に転じたようである。
枡添も、当初の新党発言に修正に修正を加えており、しまいには「新党を作って飛び出すかというと、与謝野氏が先という勢いだ」と述べるに至った。「与謝野さん、お先に」と腰が引けている。発言から見る限り、「総裁」人事狙いが濃厚だが、党内各派には枡添を担ぐ判断はない。新党発言では、オオカミ少年のようになった鳩山邦夫も、2月半ばから「4月旗揚げ」を公言しているが、14日にも「与謝野さん、舛添さんが一緒になれるように、わたしは坂本竜馬をやりたい」と大きく出た。しかし薩長土肥クラスの雄藩ならともかく、人数もろくろく集まらない小藩をくっつけても、雀の学校で迫力がない。たとえ出来ても「5人のめどは立っている」では語るに落ちた話だ。理念も政策もない、不平不満分子の集まりでは、回天の事業は出来ない。だいたいフィクサーをやるなら、テレビに出て、宣言しては駄目だ。フィクサーは深く潜行して事を成し遂げるものだ。テレビは新党を作ってくれない。
もっともらしく語られているのが、与謝野と小沢の連携説だが、民主党分裂による政界再編などまずあり得ない。小沢サイドからは、自民党分断を意図してか、秋波が投げかけられているようだが、実態は碁仲間というだけであり、本気ではあるまい。予算委で「政治とカネ」追及の急先鋒に立った白馬の騎士・与謝野が、“ダーティー小沢”と手を組んでは、しゃれにもなるまい。まあ、与謝野・枡添・邦夫の「3人組」は、前首相・麻生太郎が言う「上司の批判は赤提灯まで」にとどめるべきだろう。だいいち総裁・谷垣禎一がいくら能力がなくても、自民党支持率低迷を1人のせいにするには無理があるし、支持率を根拠にするなら、民主党の急落を見るべきだ。時事通信の最新調査では危険水域の20%台寸前の30.9%まできている。比例代表選の投票先でも、民主は2.9ポイント減の21.1%で、自民の20.5%(前月比2.5ポイント増)との差が一段と縮まっている。谷垣執行部が鳩山内閣の支持率を半減させた功績は、目をつぶるのかということになる。
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