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2010-02-24 11:12
中国に愛を捧げる日本
岡崎研究所
シンクタンク
英『エコノミスト』誌ウェブサイトのアジア専門コラム「Banyan」1月28日付が、欧米の中国に対する楽観主義が消える中で、日本は中国に接近を図っているが、中国にはそれに乗る気はなく、逆に日本と米国の間に溝を作ろうとしている、と論じています。すなわち、欧米では、環境やイラン問題への不協力、サイバー戦争、為替操作等のために、対中「楽観バブル」がつぶれたのに、日本では、小沢氏率いる大使節団の訪中や鳩山首相の南京訪問、そして胡主席の広島訪問が検討されるなど、ますますバブルが膨んでいる。
また、鳩山政権は東アジア共同体を提案したが、中国はアジアに君臨してきた中国本来の立場を回復するつもりであり、日本の提案などに乗る気はない。一方、GDPの200%近くの負債を抱える日本には、アジアの中心になるような大胆な構想を実現する力も、米国の保護下から脱却して独自の安全保障政策を遂行する力もない。そうした日本に対し、中国がその笑顔の裏に、日本とその長年の保護者であった米国との間に溝を作ろうという意図を隠していても不思議ではない。日米同盟は西太平洋の安全保障の鍵であり、その行方が懸念される、と言っています。
コペンハーゲン環境会議を混乱させ、政府機関や民間企業にサイバー攻撃をしかけ、為替を操作して貿易黒字を積み上げ、経済成長を果たし、対イラン制裁には協力せず、と欧米では中国への苛立ちが募る一方、西洋の没落とアジア(=中国)の台頭は避けられないという悲壮感も広まっています。それだけに、日本が中国への接近をはかり、他方で地域の安全保障の要である日米同盟に緊張をもたらしていることは、余計驚きをもって観られることになります。
また、東アジア共同体構想は「支離滅裂な夢物語」であり、基地問題を持ち出した際の鳩山氏は「夢遊病状態だった」といった言葉が示唆するように、鳩山政権はきちんとした方針がないままに流されており、それを中国に上手く利用されている、と欧米は心配しています。日本は欧米が築いた国際秩序の一員として認められ、恩恵も受けてきましたが、その欧米には、日本が今どこに進もうとしているのか見えないということです。日本はどのような政策をもってアジアや世界と関わるのか、他国が理解できる言葉で説明することも、指導者の重要な役割でしょう。
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