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2010-01-29 07:45
ささやかれる4つの「か」:鳩山政権
杉浦正章
政治評論家
永田町で「辺野古か、普天間か、県外か」に加えて「5月退陣か」の4つの「か」がささやかれている。首相・鳩山由紀夫自身は普天間基地移転先を「5月末までに覚悟を持って決める」と退路を断つ発言をしたが、だれも鳩山にそのリーダーシップがあるとは思っていない。発言が空虚に響くだけだ。通常国会冒頭の国会論議で浮き彫りになったのは、鳩山政権の公私にわたる欺瞞(ぎまん)性であり、鳩山も幹事長・小沢一郎も、発言の信用度がゼロに近くなってきたことだ。とりわけ小沢が何と焦点の辺野古近辺に土地を購入していた事実が新登場したことは、問題を大きくしそうだ。
信用度ゼロの理由の一つは、鳩山と官房長官・平野博文の役割分担の色彩がいよいよ濃厚になってきたことだ。平野の「選挙結果を斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」との発言は、一にかかって対米アリバイ作りだ。これを鳩山が「ゼロベース」発言で沖縄現地向けに冷やすと言う構図だ。マスコミや野党が平野発言を批判すればするほど、鳩山が対米的に「いい子」になるという当面糊塗策にすぎない。要するに鳩山には「ゼロベース」どころか、普天間移転問題そのものうぃ思考する能力が「ゼロ」なのだ。結論を引き延ばし、一自治体選挙を煽り、閣内の発言を迷走させてきた、自縄自縛の優柔不断がすべての原因を作っている。ゼロベースを強調しながら、28日は「普天間に戻ることは選択肢ではない」と発言した。辺野古が駄目なら普天間に戻るという退路を自ら断ち切ったのだ。決まらなければ「覚悟を持って」と発言したのだから、当然「殿、お覚悟を」となる。
今やミニ政党にもかかわらず、普天間問題で虚飾の存在感を高めている社民党党首・福島瑞穂の高笑いが聞こえる。一度連立離脱をほのめかしただけで鳩山が震え上がってひざまずき、主導権を握ったからだ。おそらく移転を強行しようとすれば福島は連立を離脱、「普天間移転闘争」の先頭に立つだろう。かっての社会党の亡霊が安保闘争以来の出番を狙って、うずうずしているのだ。名護市長選直後に指摘したように、地方・中央の連携闘争が成田闘争並みに拡大すれば、現政権にこれを押さえる力はない。こうして普天間移転問題はすべて袋小路に入って行き詰まった。おりから新聞テレビの世論調査では、内閣不支持が支持を上回って、逆転する傾向を見せている。鳩山自身はこの傾向について「国民の皆さんからの叱咤(しった)激励と受け止め、むしろ感謝しながら、より一層力を入れて、頑張る」と発言したが、ぬけぬけとよく言う。「叱咤」はいいとして、鳩山を「激励」しようと不支持を選択した「国民の皆様」はゼロだ。「感謝」されては薄気味悪い。
ふがいなさにおいては民主党政権に匹敵する自民党も、好材料が多すぎて困るような状況だ。しかし追い込んだ獲物を本当に捕獲できるかどうかは、今日からの本予算審議以降にかかっている。鳩山の“脱税”問題は確定申告時期を迎えて、国民にモラルハザードを起こしかねない。加えて1月29日付産経新聞のスクープ「小沢氏、沖縄に土地購入」も衝撃的な話だ。購入時期は、辺野古移設の在日米軍再編中間報告に日米が合意した17年10月の直後だ。あきらかに事前情報入手による投機だ。恐らく米軍家族用住宅などの建設を見込んでのことだろう。小沢の土地投機はここまでやるかという事例であり、その疑惑は追及の対象として国会に新たに登場するだろう。来週2月4日に小沢の秘書が起訴されるのは必至と見られ、政権に大波がかぶさる。起訴により3月末の時効は中断して、地検の小沢追及は継続する。4カ月間で普天間の結論は極めて困難。やきが回った政権を自民党が4,5月の退陣に追い込めるか、正念場はこれからだ。
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