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2010-01-27 21:17
20年前に逆戻りした沖縄の基地問題
花岡 信昭
拓殖大学大学院教授
名護市長選の結果は、稲嶺進17,950票、島袋吉和16,362票。得票率は52.3%対47.7%。投票率76.96%。だからいわんこっちゃない、といまさら吠えてみてもはじまらないか。名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸への普天間基地移設は、反対派市長の誕生で、完全に白紙になってしまった。というよりも、これで沖縄の基地問題は20年前に逆戻りしてしまった。大挙して投入された左派勢力の勝利である。左派は本土ではほとんど活動拠点がなくなってしまったので、闘争目標を沖縄に置いている。それが現実化した。
これによって、5月までの決着という政府公約は達成不能となる。「トラスト・ミー」と言ってのけた鳩山首相はいったいどうするか。国際政治の舞台でまったく信用のおけない指導者としての位置づけだけは確実にした。国外・県外の移設先がそれまでに見つかるはずはない。日米関係は戦後最大といってもいい危機的局面を迎える。だいたいが、10数年かかって、ようやくキャンプ・シュワブ沿岸への移設で日米合意していたのだから、鳩山首相が「沖縄のみなさまのお気持ちをお聞きして・・」などと言いださなかったら、現行案通りの手順で進んでいたはずだ。そのために、政府は莫大な振興費も費やし、地元の了解を得るべく時間をかけてきた。鳩山首相はそのすべてをひっくり返してしまった。
「政治的未熟な首相」という以外にない。あるいは、日米同盟の死活的な重要性になどまったく関心がなく、国際情勢認識のきわめて希薄な政治指導者を輩出してしまったことのツケが、これで一気に押し寄せた。もっとも、今後の政治展開によっては、キャンプ・シュワブで決まる可能性もゼロではない。5月時点で、鳩山首相が決断し、退陣するというケースだ。これをやれたら、鳩山首相は歴史に残る。いずれにしろ、政治資金問題、予算の年度内成立という厄介な難問に直面しているのだから、すべてひっくるめて進退と引き換えにするという手は残されている。
いまさらいうまでもないが、日米安保が日本の外交・安保政策の基軸だ。ここに亀裂が生じて、喜んでいるのはだれか。東アジアの軍事バランスを自らぶち壊すという愚の骨頂を演じたのでは、国家の安全保障をたばねる資格はない。
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