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2009-11-06 05:46
鳩山政権と再活性化する「東アジア共同体」論議
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
鳩山政権が打ち出した「東アジア共同体」構想については、鳩山総理自身がすでに国連総会、日中韓首脳会議、ASEAN+3サミット、東アジア・サミット、国会所信表明演説等の機会にその考え方を縷々述べたが、具体的中身はいまだ明確になったとは言い難い。10月タイで開催されたASEAN+3サミット、東アジア・サミットでも、各国より鳩山総理の積極的姿勢は一応歓迎されたが、それぞれの議長声明では東アジア共同体に関する日本の「意気込み」(aspiration)、「新たな提案」に留意した(noted)との表現で記載されるにとどまった。
しかし、鳩山政権の登場が米国を悩ませ、國際的にも非常な注目を浴びている中で、鳩山総理が東アジア共同体へのこだわりを示したことは、明らかに国際的なインパクトを与えている。近年停滞気味ともいえた東アジア共同体への国際的関心を再び呼び起こし、主要関係国間の論議および取り組みを活性化するひとつの契機を提供したことは間違いない。
また、鳩山総理は、日中韓およびASEAN諸国首脳に対し東アジア共同体とともに日米同盟関係が基軸となることを強調し、将来の東アジア共同体の構築にあたっては米国を関与させるべきであることを力説してきている。これは、米国向けパーフォマンスとの見方もあるが、これによりASEAN諸国の中でもシンガポール、インドネシアといった従来よりの米国重視派のほか、最近はタイや豪州、ニュージーランド等も同様な見方を示すようにもなってきている。今後東アジア共同体に米国を関与させることの是非および関与させる場合どのような形とするのが適当かについてASEAN+3内部でも従来よりも一段と真剣な論議が行われることとなろう。
米国自身の東アジア共同体構想への態度も不明確であるが、これは、ASEAN+3ほか関係国の東アジア共同体についての考え方が定まっていないことにも起因している。11月にシンガポールで開催されるAPEC首脳会議およびオバマ大統領が出席して行われる第1回米・ASEAN首脳会議の結果、米国がどのような態度を示すかが注目される。他方、このような中で豪州も12月ロッド首相が表明している「アジア太平洋共同体」構想の具体的中身を詰める1.5トラック会議を招集し、アジア太平洋地域における「共同体」論議に積極的に参画しようとしており、鳩山イニシャテイブを契機としてこれら諸構想についての本格的な國際的論議が改めて始まろうとしている。
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