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2009-10-29 22:05
迷走をつづける民主党政権
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
鳩山首相と、その閣僚たちの発言のぶれが目立つ。中には計算済みのものもあるだろうから、それはそれでよいといとしても、こと内政に関してはともかく、外交に関する超楽観主義に裏打ちされた腰の定まらなさが目立つのは気になる。
一つは、言うまでもなく沖縄基地問題だ。一方では「友愛精神」に基づいて誠心誠意、沖縄県民の苦衷と、アフガニスタンでの日本のなし得る協力を材料に説得すれば、きっとオバマ大統領が解ってくれる、などと能天気になったのではまさかないと思うが、米国のネガティブな反応を受けて、早々に岡田外相が後生大事なマニフェストからの脱却を言明。ために社民党の強烈な反対を食らうことになった。これが、出来っこないマニフェストを実行しないことに対して、国会における自民党の攻勢をあらかじめガス抜きしておこうという意図ではあるまいが、少なくとも超大型予算ができませんでした、ゴメンナサイ、には使えるのかもしれない。
いま一つは、お得意の「東アジア共同体」。誰が考えても、これは中国をどう料理するか(という表現が悪ければ、どう取り込むか)という話だろう。通貨一つとっても、仮にマーケット・バスケットを取るにしても、人民元の取り扱いが中心になる。まして、なりふり構わぬ資源外交で世界各地を食い荒らし、ミャンマーにまで軍事事基地を作ろうというお国柄だ。どこかの将軍様の国に較べれば、それでも遥かにマシではあるが、その将軍様それ自体をバーゲニング・チップにつかいかねないというしたたかさの前に、われらが友愛の鳩がどこまで迫れるか。海千山千のASEANは(中には根っからの中国嫌いもあって)、鳩山さんのご提言これは結構、というスタンスを取っているのは明らかである。だからといって、中国になびくオプションは全く棄てていないのだから、あっぱれというべきであろう。8%の経済成長ととどめを知らない軍拡を、まさか見ぬ振りをして通過することもできないだろうから、これも鳩山政権の腕の見せ所になる。
とにかく超大型予算だ、マニフェストだ、と広げた大風呂敷をどの辺りで致命傷にならずに店じまいするか。そうはさせじ、と手ぐすねを引く自民党がどこまで勉強しているか。ひいてはあやしげな3党合意がいつまで持つのか。初々しく、懸命に王道を進もうとしている政権の揚げ足を取るつもりはないが、蜜月期間は1年はないだろう。メディア受けする人材を登用して世論を糊塗するのでは、どこかの県知事にすり寄ってこけにされた、かつての自民党の二の舞になりかねない。日本は変わりつつある。めげずに筋を通していってほしい、と思う。
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