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2009-10-06 20:19
敗北主義のように見える自民党総裁選の結果
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
自民党は総裁に谷垣禎一氏を選んだ。実質的に河野太郎氏との一騎打ちだったのだから、自民党員は安全牌の方を選んだということだろうか。あるいはエキセントリックなリーダーは避けたい、という思いだったのかもしれない。党再建には4年があるのだから、まあ中庸路線でゆっくりやろうや、という意思表示にしか見えないところが、難である。民主党はそのうちに取り返しがつかない失敗をしでかすに相違ない。ならば腰を落として、正攻法でじんわりやろう、というのが大方のご意見なように見えて仕方がない、ということだ。
第三者の目から見ると、これは既にして敗北主義であるように映る。念のために言っておくが、谷垣氏の識見や政治家としての資質に問題がある、という含意は全くない。そうではなくて、前回選挙の惨敗は、たまたま時の運で起ったというようなものではなく、国民の目に「自民党的」なるものが、どうにも我慢できなくなっていた結果だと言う認識に欠けた総裁の選定ではなかったか、と疑念を呈しているのだ。異論もあろうが、民主党が圧勝したのは結果に過ぎず、ただ自民党にはうんざりだ、という意識、さらには国民のニーズがどこにあるのかを汲み上げる感度が麻痺してしまった自民党の領袖やそれを支える組織にこそ問題がある、という認識が欠如していると見えるのだ。
だから、自民党がかなりドラスティックな内部変革を目に見える形で行わない限り、たとえこの4年の間に民主党の失政が相次いだにしても、ならば棚ぼたでもう一度自民党が返り咲くという考え方は甘いというべきだろう。その意味では、河野氏を選んでいた方が、国民にとっては自民党変革の意思がより明確に伝わっただろう、と死んだ子の歳を数えている訳だ。この後河野氏一派の去就にも注目は集まる。彼らが離党せざるを得ないような環境を作ったりすれば、それは自民党の自殺行為だろう。ただし、河野氏に百票を超える地方票が入ったというのは救いで、これを背景に河野氏がどんな動きを見せるかが見所だ。
民主党のこんな圧勝は計算外で、キャスティング・ヴォートを握る筈だったのが当てが外れた自民党離党組や、時代錯誤のモラトリアムの例に見られるように、3党合意なるものが(やむを得なかったとはいえ)いかに理念なき野合であったかに、悔恨の念なきにしもあらずと想像される民主党の主流などが、河野氏一派とどのような対話を持つのか持たないのか。今日明日の話ではないことはもちろんだが、興味深い。とはいえ、とにかく発足したばかりの鳩山内閣。清新な雰囲気は好感を持たれていることに疑いはない。まずは旧来の陋習を打破して、次に100年の大計を考えていただこう。
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