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2009-09-23 11:57
鳩山首相の理想主義に危惧の念を感ずる
四条秀雄
不動産業
麻生内閣の1年は素晴らしい成果を上げました。1年前に「こうあれば良い」と言っていた1年後を、現在実現していることは、私に満足感を与えてくれます。この内閣の評価が内外で定まらないのは、麻生政権が「時間をかけて考える価値」のある仕事をしたからでしょう。反対に、CO2の1990年比25%削減を発表した鳩山首相の政策は「時間をかけて考える価値」のない政策だと思います。
もちろん、25%削減というのは、日本にとって過酷であり、諸外国にとって望外の利益であるからです。CO2の総排出量は、日本という国の「資産の塊」が活動することに付随して発生します。従って、この削減目標を実現するには、この「資産の塊」を目標に見合った質と大きさのものに入れ替えなければいけません。日本国の生産性資産は1000兆円強であり、これを年間の総固定資本形成100兆円で割ると10年超となります。現実には、入れ替えにはおそらくその数倍の時間が掛かるでしょう。1年目に100兆円投じても、10年後には減耗分があり、その数分の1になっている訳ですから。現在の1000兆円の資産は、過去数10年分の蓄積の成果です。
鳩山首相は「2020年までに25%削減を達成する」と言っています。麻生内閣の削減目標8%の実現可能性に比べて、鳩山内閣の削減目標25%の現実離れぶりははっきりしています。問題は技術力ではないのです。過去から蓄積してきた「資産の塊」を、非常な短期間でより省エネ的な「資産の塊」と入れ替えなければならないことにあります。それがどれほど破壊的な影響を日本経済にあたえるかということが、まったく議論されていません。
一部の理想主義者を除けば、専門家の多くは、鳩山首相の25%削減目標がほとんど無理だと考えているのではないでしょうか?国家の指導者が実現できない目標を掲げればどういう結果になるかは、先の戦争で十分に経験したことではないでしょうか?経済が行き詰まって、国民生活の不平が高まった後には、一部の勢力が、理想主義の旗の下に「新体制」を敷きます。それが戦前の失敗でした。鳩山首相の理想主義は、その二の舞になりかねない危うさを内包しています。
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