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2009-08-20 14:28
アジア通貨単位(ACU)は夢ではない
吉田 春樹
吉田経済産業ラボ代表取締役
現在、日本円は米ドル、ユーロに次いで第3の国際通貨の位置にある。しかし、遠からず中国が国内総生産(GDP)で日本を抜く見通しで、やがて人民元の国際取引も自由化される時が来るだろう。ぼつぼつアジア通貨のあり方を真剣に考えておく必要があると思う。以下は、最近の『日経新聞』「十字路」欄にも寄稿したことであるが、これからは一国の通貨が基軸通貨の地位を独占するのではなく、複数の国際通貨がその役割を共同で担う時代が訪れるのではないか。
なぜならば、新興国などの台頭で世界経済の拡大が進み、一国で基軸通貨の機能を担うのは負担が重過ぎるからである。そこで考えられるのが、アジア共通通貨の創設である。といっても、この東アジアにユーロのような単一通貨を考えるのは時期尚早だ。ヨーロッパと東アジアとでは、その歴史的、文化的一体感に、まだ差があるからだ。
しかし、経済の観点から見ると様相はかなり異なる。この東アジアは世界の生産基地と呼ばれるように、その連携がかなり進んでいる。従って域内通貨の安定は、地域の共通利益である。現に1997年のアジア通貨危機を契機に、日本の主導でチェンマイ・イニシアチブ(東アジア主要国間の資金融通協定)が成立している。さらに、今この地域で強く必要性が感じられるのが、域内共通の決済通貨である。例えばマレーシア元首相のマハティール氏も「決済通貨導入を早く決断すべきだ」と、事あるごとに主張している。
それではその決済通貨とはどのような通貨なのか。ここで参考になるのがユーロの前身である欧州通貨単位(ECU)である。このアジアに地域の目的に合わせてアジア通貨単位(ACU)を創設するのだ。そのためには、人民元の自由化が大前提となる。ここを日中間できちっと話し合いできれば、後は韓国、台湾、インドも含め、多数の東アジア各国・地域がこの構想に参加することになるだろう。
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