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2009-08-07 05:05
着実な成果を挙げたASEAN関連外相級諸会議
石垣 泰司
アジア・アフリカ法律諮問委委員
7月19日から8月3日まで、タイ・プーケットで開催されていたASEAN外相会議、拡大外相会議、ARF等一連の外相会議が格別の混乱もなく、順調に開催され、いくつかの重要な成果を挙げることができたことは、喜ばしい。今回のASEAN外相会議においては、発表された共同コミュニケによれば、少なくともつぎの3つの成果があったとされる。(1)ASEAN憲章が昨年12月発効し、2009年から2015年までのASEAN共同体構築のロードマップを示した「チャーム・ホアヒンASEAN首脳会議宣言」のフォロ-アップ作業が着実に進行していること、(2)ASEAN「政治・安全保障共同体」(APSC)、「経済共同体」(AEC)、「社会・文化共同体」(ASCC)のASEAN3共同体のそれぞれについての取り組みが着実に進捗していること、(3)「ASEAN政府間人権委員会」の付託事項が採択され、10月のASEAN首脳会議において正式に設立されること、である。
ASEANの域外主要国との2国間協力についても、日中韓3国のほか、豪州、NZ、インド、EU、 ロシア等と協力が引き続き進展しており、とくに米国がASEAN友好協力条約(TAC)に署名し、同条約への加入に踏み切ったことは、東南アジアの平和と安全の促進への米国の関心を改めて示したものとして重要だ。米国・ASEAN間では、さらに今後の優先的協力分野に関する文書も合意されたことは、注目される。ASEANの共同体構築努力にも役に立つであろう。クリントン国務長官は、近く米国のASEAN代表部をジャカルタに開設する予定であることも発表した。
続いて個別に開催されたASEAN+3外相会議および東アジア首脳会議(EAS)参加国(ASEAN+3+3)外相非公式協議においては、それぞれの地域内の今後の協力の進め方とともに、双方において、共通の問題として、北朝鮮、ミャンマー、経済金融危機、保健協力、防災などの問題が取り上げられ、さらに、ASEAN+3会議では食料安全保障問題について、またEAS会議では環境・気候変動、教育問題についても、意見交換が行なわれたという。ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議では、北朝鮮代表も出席し、北朝鮮問題をはじめとするアジア太平洋地域の政治・安全保障に関わる諸問題について議論が行われ、2020年までの地域展望に関する「ARFビジョン・ステートメント」が採択された。
以上のような今回のASEAN関連諸会議でとくに注目されるのは、いずれのフォーラムでもミャンマー問題について活発な論議が行われたことである。ASEAN外相会議コミュニケによれば、これまでの内政不干渉の建前にもかかわらず、ミャンマー政府に対し2010年自由公正選挙の実施、アウン・サン・スー・チーを含むすべての身柄拘束者の即時釈放と2010年総選挙への参加許容など、従来よりかなり踏み込んだ人権重視のASEANの立場が明らかにされた由である。10月23-25日にはプーケットで本年の第15回ASEAN首脳会議および関連諸首脳会議の開催が予定されているが、前回のような混乱なく開催されることになれば、さらなる進展につながることが期待される。
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