オバマ政権の対東アジア外交の政策を策定し、遂行する上での実務責任者となる国務省東アジア太平洋地域担当国務次官補として指名されていたキャンベル(Kurt M. Campbell)が承認され、その東アジア外交が本格的に動き出す体制が整った。 6月10日行われた上院外交委員会の指名承認公聴会では、キャンベルが同委員会に事前に提出した冒頭ステートメントについての説明に引き続き、出席委員との間で様々な質疑応答行われた。冒頭ステートメントでは、自分の東アジアとの20年にわたる関わり・経験(海軍士官としての横須賀勤務後、統合参謀本部、財務省、国家安全保障会議、アジア太平洋地域担当国務次官補代理を歴任)を踏まえて、新任務に意欲的に取り組みたい、として当該地域における米外交の重点事項に関する所信を述べた。
国別説明では、まず日本がアジア地域における米国の安全保障政策の基石(cornerstone)であるとし、ついで韓国、豪州、ASEANとの関係の重要性について述べた。米中関係については、最後に「but certainly not least」として、「複雑で、急速に発展しつつあり、米国の2国間関係の中で最も重要な(most consequential)なものの1つ」であるとし、協力関係とともに人権等意見を異にする困難な諸問題についても率直な対話を重視していく姿勢を明らかにした。チベット情勢についても、引き続き懸念を持ち続けるとした。質疑応答の中で、キャンベルは、日本に再三言及するとともに、米国として、また他の地域諸国にとっても、日中両国が良好な関係を保持することが重要であると考えており、米日中3国関係の緊密化に取り組み、その際韓国にも十分配慮していく必要があるとの考えを示した。