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2009-06-24 07:47
“猫だまし”で芸人・東国原の勝ち
杉浦正章
政治評論家
「芸人」対「川筋モン」の戦いは、“猫だまし”の奇襲で「芸人」の勝ちというところか。宮崎県知事・東国原英夫に礼を尽くして会いに行った自民党選対委員長・古賀誠は、芸人の自己PRに乗せられた形だ。タレント知事にまで救いの手を求めるとは、自民党も末期症状の極みだ。古賀は総選挙大敗の情勢に、正常な判断を出来なくなってきている証拠だ。自民党はもうここまで来たらじたばたしない方が良い。状況を甘んじて受け入れ、再起を期する覚悟をすべきだ。東国原の本質は、国政レベルから見れば「お笑いタレントにしては知事の職をよくこなしている」というあたりでしかない。
国政経験もない。自民党総裁候補となれば、寸分の隙もなくスポットが当たる。当然過去の行状も再び俎上(そじょう)に載せられる。ビートたけしの最初の弟子になり、1986年には、たけし軍団と共に講談社を襲撃し、暴行罪で現行犯逮捕されている。「淫行事件」でマスコミを通じ、謝罪の文書を発表してもいる。自民党は「淫行総裁」を御輿に担ぎ上げるのか。今回も芸能人の本能が丸出しとなった。少しでもよい役をもらうための戦いで生きてきた本能だ。なまじっかの政治家より出世欲は強いのだ。
それにしても「次期総裁候補として自民党は戦う覚悟があるのか」とは誇大妄想的な買いかぶりも甚だしい。自民党が愚弄(ぐろう)された面は否めない。さすがに古賀は「党則上無理でしょう」と断ったようだが、受け入れていれば「麻生降ろし」の先端に躍り出たことになる。一見唐突な会談のようだが、地元では先週末から古賀が「出馬要請」に来ることは報じられていた。それも「総務相」ポストで吊り上げるのではないかという見方があったようだ。知事またはその周辺が情報を流していたのだろう。東国原は手ぐすね引いて待っていたのだろう。
問題は、政界では首相・麻生太郎だけが古賀・東国原会談を知っていたことだ。知っていたということは、麻生と古賀との間で秘密の計らいがあったはずだ。それが「総務相」ポストなのかどうかはベールの内側の話だ。いずれにしても古賀・東国原会談は、「麻生では戦えない」の印象を分かりやすい形で国民の隅々にまで及ぼす結果を招いてしまった。政権にとっては、東国原への出馬要請とそれをめぐるやりとりは、マイナス効果でしかないだろう。古賀の判断力が一番問題だ。苦し紛れであることは分かるが、芸能界で生き抜いてきたタレント本能の“厳しさ”を計算していなかった。
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