NEAT・EAF関連活動
NEAT第40回CCM
メモ
2024年8月5日
東アジア共同体評議会(CEAC)事務局
ASEAN+3(APT)首脳会議の傘下にある「東アジア研究所連合(NEAT)」の「国別代表者会議」(CCM)が、8月5日に日本主催により、下記1.~4.の要領でオンライン開催された。
- 1.日 時:2024年8月5日(月)13時より15時(日本時間)まで
- 2.開催方法:オンライン形式(ZOOMウェビナー)
- 3.出席者:各国のNEAT代表者など26名。日本からは渡辺繭東アジア共同体評議会議長、菊池誉名事務局長が参加した。
- 4.内容
CCMでは、本年度各国が主催した3つのWGから、研究成果としての政策提言が報告された。各WGによる提言内容については以下のとおりである。
(1)「災害対応における女性・平和・安全保障(WPS)の促進」WG(NEAT日本主催)
アジア太平洋地域は、自然災害が頻繁に発生する地域であり、災害対応におけるWPSを推進する意義は大きい。災害対応において、より効果的で、より包括的で、より強固な政策、計画、管理を確立するためには、女性の参加と貢献を強化することが不可欠である。そのためには、(イ)平時からの政治・経済・社会活動への女性の参画の促進を行い、政治・経済・社会のあらゆるレベルの意思決定プロセスに女性が積極的・主体的に関与できる環境を整備することが重要である。政治・経済・社会の運営や意思決定において女性が重要な役割を担っている国は、WPSの推進に積極的であるだけでなく、実効性の高い施策を導入している。政治・経済・社会活動に参加する女性の数を増やし、特に防災・災害対応の分野において、政策やルールを決定・設定する平等な権利と機会が与えなければならない。また(ロ)性別役割分担の無意識の偏見や差別をなくすための教育プログラムを確立すべきである。災害におけるWPSが進まない理由の一つは、歴史的、政治的、社会的、文化的に構築されてきたジェンダー役割や偏見の存在がある。こうした偏見をなくし、女性だけでなく、自然災害発生時に弱い立場に置かれがちな子ども、高齢者、外国人、性的マイノリティなどに対して、すべての人が配慮と想像力を持てる社会をつくることが不可欠である。さらに(ロ)東アジアにおいて、WPSに関する調査の強化、グッド・プラクティスや教訓の共有を進めるべきである。東アジアでは、災害時のWPSを推進するために様々な政策や実践がなされてきた。学術的な研究を通じて、優れた実践、教訓、課題を明らかにし、女性、子ども、年長者、その他すべての災害弱者に配慮しながら災害対応策を準備・改善し、災害管理に貢献する女性の強みと可能性を引き出すために、それらを共有・活用することは有益である。
(2)「東アジアにおけるサプライチェーンの連結性強化」WG(NEAT中国主催)
サプライチェーンの連結性は、東アジアにとって必要以上のものであり、地域統合に役立つだけでなく、より付加価値の高い共通の福祉に不可欠である。強靭な地域サプライチェーンを追求するため、(イ)長期的な協力メカニズム、およびルールに基づく市場志向のビジネス環境を整えるべきである。サプライチェーンを強靭化するために、APTサプライチェーン・ワーキンググループを設立し、すべての市場関係者が平等かつ公平に扱われるよう、透明性を高めることが不可欠である。工業団地や経済特区を十分に活用すべきである。(ロ)地域内の政策調整を進めるべきである。ASEANの中心性は多様な需要にとって不可欠である。RCEPはサプライチェーンの連結性を促進する良い政策インセンティブである。さらに、域内協力の枠組みや各国の開発プログラム間の相乗効果も極めて重要である。(ハ)インフラと技術の主要な推進力を高めるべきである。インフラの連結性と技術の共有を促進すべきであり、国内および国境を越えたインフラプロジェクトを加速させることが急務である。共有技術が普及すれば、技術を共有するコミュニティはサプライチェーンの連結性に大きく貢献する。(ハ)NEV産業をサプライチェーン協力のパイロットプロジェクトとすべきである。NEVサプライチェーンとバリューチェーンを促進し、2023年の「電気自動車エコシステムの開発に関するASEAN+3首脳声明」を推進するために、東アジアにおけるNEVエコシステム開発のためのAPT行動計画を整え、実施することが重要である。
(3)「SDGsのための東アジア協力:持続可能な都市とコミュニティ」WG(NEAT韓国主催)
SDGs、特に持続可能な都市とコミュニティに関する目標を包括するアジェンダ11の実施に向けたコミットメントを再確認するため、APT各国政府は次のことを行うべきである。(イ)キャパシティ・ビルディングと財政支援を通じて、持続可能な開発のための地方政府・準国家政府の能力を強化すべきである。これには、都市計画、資源管理、気候への適応、住宅・生活環境の改善などが含まれる。(2)地域ネットワークを通じて都市間協力を推進し、都市化、 環境管理、経済開発に関する学習の強化、交流プログラムの促進、共同プロジェクトの開発を行うべきである。人工知能、デジタル・プラットフォーム、宇宙技術などの第4次産業技術を活用し、意思決定を支援する必要がある。(3)都市計画と開発プロセスにおけるマルチステークホルダーの関与を強化すべきである。これには、包括的な意思決定の促進、インフラプロジェクトにおける官民パートナーシップの育成、知識共有プラットフォームの確立が含まれる。これらの施策は、地域の資源を活用し、都市間の協働を促進することで、人口減少、経済の不安定性、環境の持続可能性などの課題に対処することを目的としている。
以上
文責:事務局